出版社内容情報
蓮實重彦、大岡昇平、西江雅之、篠山紀信ら9人のゲストを迎えて、70年代後半から80年代前半に収録された若き日のおはなし。野球のこと、時間のこと、言葉のこと、写真のこと、そして映画のことなどを忌憚なく語り合う、知的興奮に満ちた鼎談集。
内容説明
抱腹絶倒!豪華で多彩なゲストたちとの才気あふれる会話。1978~80年、幻の鼎談集…目白姉妹の語り下ろし対談も収録!
目次
プロ野球のお話(ゲスト)蓮實重彦
メリイ・ウイドウのお話(ゲスト)武田百合子
言葉のお話(ゲスト)西江雅之
時間と空間のお話(ゲスト)大岡昇平
映画憑きのお話(ゲスト)山田宏一
「深淵」についてのお話(ゲスト)フィリス・バンバウム
激写のお話(ゲスト)篠山紀信
シュルレアリスムのお話(ゲスト)巖谷國士
百恵に狙われたら逃げられない(ゲスト)平岡正明
あの頃、そして今のお話―金井久美子×金井美恵子
著者等紹介
金井久美子[カナイクミコ]
画家。1945年、北京生まれ。ルナミ画廊、シロタ画廊、村越画廊などで個展を開催する。妹・金井美恵子の多くの著作の装幀、装画を手がける
金井美恵子[カナイミエコ]
小説家。1947年、高崎市生まれ。67年、「愛の生活」でデビュー、同作品で現代詩手帖賞受賞。著書に『プラトン的恋愛』(泉鏡花賞)『タマや』(女流文学賞)『カストロの尻』(芸術選奨文部科学大臣賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
171
金井美恵子、3作目です。最近の鼎(対)談集かと思いきや、40年以上前の作品でした。対談者は、半数程死去しています(笑)オススメは、フィリス・バンバウム『「深淵」についてのお話』&篠山 紀信『激写のお話』&平岡 正明『百恵に狙われたら逃げられない』です。 https://www.chuko.co.jp/tanko/2021/12/005486.html2022/02/14
もりくに
73
金井美恵子(小説家)・久美子(画家)毒舌姉妹がゲストを呼んでの1980年前後の鼎談集。巻末の「あの頃、そして今のお話」(2021年)で美恵子さんがいみじくも「古びている」と。古びないのが良いもの、というのは一種の迷信、と。老嬢(1980年当時のこのシニカルさ!)の頑なな趣味で、「気に入ったお客様しか呼ばない」。武田百合子さんを褒めて、「朝からトンカツ食べるというセンスがいいわね」。答えて「そう言われると、やっぱり嬉しいわね」。「武田泰淳の凄さというのは、瞬間瞬間に驚くことの感覚忘れなかったこと」。→ 2022/04/15
hasegawa noboru
18
1979~1981年阿佐ヶ谷ならぬ目白姉妹(親戚から呼ばれていたそう)が毎回のゲスト九人を迎えてなされた鼎談の初単行本化。最後に「あの頃、そして今のお話」語り下ろし対談を載せている。そこに(一)「タイガー立石の批評性」に気づかぬ美術批評の現状の話題に始まって、小説を含め文芸時評というものが<ものすごく幼稚化し><面白いものが、じゃんじゃんなくなってきている>と嘆く。<単に内容の紹介じゃなく、批評的に文学史的にどういうところにいるんだということがわかるように表現するのが、時評だ>!同意。(二)<この鼎談を2022/01/13
あ げ こ
15
楽しくて三周読む。例えば大岡昇平との鼎談の回で、久美子さんが大岡昇平に〈(マックス・)エルンストなんかいかがですか?〉と聞くくだり、〈エルンストは好きですよ。〉と言われて〈ああ、良かった(笑)〉と喜ぶ所を読むと、何だか久美子さんがとてもかわいらしく思えるし、姉妹が本当に〈気に入ったお客さましか〉呼んでいないことがわかる。読むことにせよ書くことにせよ見ることにせよ、そこから決して快楽を締め出さないやり方をすると言うか、そこにある快楽や欲望や楽しさと言うものに対して常に敏感で繊細な人たちばかりである気がする。2022/01/09
あ げ こ
11
当時読んでいたのは大江健三郎ひとりという説もある鼎談集、今回も楽しく読み終える。姉妹はこれらの鼎談を「古びてる」と言うけれども「古びる」ということは即ち時代性があって紋切り型でなくて面白い、ということなのだと。〈それで好きな小説は、完結していない小説ってことなの。それに一つの作品に完成とか完結ってものは本質的にないんじゃないかと思う。〉…とてもとても生真面目なフィリス・バンバウムさんとの鼎談が金井姉妹のよさがよく出ていると言うか、好きである。〈井伏的でありたいねえ〉という久美子さんの言葉に大いに共感する。2022/11/06