内容説明
出奔した妹の子ども・朔と暮らすことになった椿。勉強が苦手で内にこもりがちな、決して“育てやすく”はない朔との生活の中で、椿は彼を無意識に他の子どもと比べていることに気づく。それは、大人としてやってもいいことなのだろうか―大人が言う「良い子」って、何?
著者等紹介
寺地はるな[テラチハルナ]
1977年佐賀県生まれ。会社勤めと主婦業のかたわら小説を書きはじめ、2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
448
厳しくストイックに育てられた姉と、甘やかされ我儘放題に育てられた妹。そんな対照的な姉妹に光を当てるこの作品。自分とは違う育てられ方をした事を意識し、それぞれが相手の境遇を羨ましく思ってきた姉妹、出産はおろか結婚もしていない姉・椿が奮闘する初めての『子育て』。いつしか我が子のように、手放す日々など考えられなくなっていくそんな葛藤の日々。朔の成長からそれぞれが得た何か、この何かが姉妹の未来を確実に変化させ新たな歩みへの一歩を踏み出す様を見るこの作品。『子育て』とは人生の中での一つのきっかけなのかもしれません。2021/02/26
ウッディ
347
彼氏と沖縄に行った自由気ままな妹が残した子供、朔(さく)と暮らすことになった主人公の椿。内向的な朔の子育てに戸惑いながらも、「他の子供と同じようにできないことの何が悪い!」と開き直り、自分らしく朔と向き合う姿が潔い。会社で「変わってるね」と言われても動じず、遠距離の恋人のことを信頼する彼女の生き方は筋が通っており、「親の思い通りになる子供が、良い子なのではない」という彼女の言葉にハッとさせられた。きっとそんな椿の元で育った朔は良い子に育だろう。子育てに悩む母親に読んでほしい良書でした。面白かったです。 2020/01/06
ムーミン
300
子どもは大人の所有物ではない。最近の子どもたちの難しい問題に向き合っていると、子どもに関わる大人がその問題を生み出している案件があまりにも多く、悲しいばかりです。方法に正解はない。子どもの自立、未来の幸せをひたすら願い、同じ人として愛をもって向き合っていきたいと思います。2020/08/02
fwhd8325
270
200ページあまりの物語に、一つとして見落としてはいけない緊張感を感じました。最近の傾向として、ライト感覚で表現するものも多いのですが、この物語は、シリアスでリアルだと思います。何をお前がと、静原に向けられた言葉を突きつけられるかもしれません。それでも朔が、椿、鈴菜、そして父親も家族であることの愛情を強く感じさせてくれます。誰もひとりじゃないんだ。がんばろうと思います。2019/11/19
うどん
199
とっても良かった!!椿ちゃんが素晴らしい👏朔くんは素直ないい子に育つだろうな~。 2019/10/19
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