出版社内容情報
1945年の国連発足以来、現在のアントニオ・グテーレス(ポルトガル出身)を入れ、9人の国連事務総長が誕生した。現在193の加盟国で構成される国際機構のトップであり、その道義的な権威の大きさから「宗教色のない法王」とも呼ばれる存在であるが、どう選ばれるのか、あるいはその仕事の内容などについては、十分に知られているとは言いがたい。
本書は、初代トリグブ・リーから8代潘碁文までの事務総長の足跡と9代グテーレスの選考過程までを辿り、自ら指揮する軍隊も統治する人民も領土も持たない国連事務総長が、東西冷戦下、そして冷戦終焉後の国際情勢のなかで、具体的にどのような役割を果たしてきたかを読み解くものである。国連事務総長を縦軸に著される戦後世界史には、従来のものとは違う新鮮さがある。また、たとえば
潘碁文の世評の低さは著者の見方とも通じるが、その発信力や行動・判断のある種の拙さは、日本人が国際舞台で活躍することの難しさをも想起させる。
著者は国連事務局に四半世紀を過ごし、ペレズ‐デクエヤル以来4代の事務総長に仕えた経歴を持つ。国連内部での評価や著者本人が彼らに実際に接したからこその興味深いエピソードなども簡潔な筆致のなかに挿入される。
内容説明
彼らは何と闘ってきたのか。四半世紀にわたり国連に奉職した著者が見たもうひとつの戦後世界史。
目次
1 国連事務総長とは(国連事務総長の誕生;事務総長の役割―セクレタリーかジェネラルか)
2 黎明期(トリグブ・リー―世界で最も不可能な仕事;ダグ・ハマーショルド―レジェンド)
3 対立の時代(ウ・タント―第三世界の擡頭;クルト・ワルトハイム―対立の時代;ハビエル・ペレズ・デクエヤル―零戦の終焉)
4 冷戦終焉後(ブトロス・ブトロス‐ガリ―超大国と喧嘩した男;コフィー・アナン―地球市民のための国連;パン・ギムン(潘基文)―顔の見えない国連)
国連はどこへ行く?
著者等紹介
田仁揆[デンヒトキ]
東京都出身。米国コーネル大学大学院修士。英字新聞記者を経て1988年国連本部に奉職。ハビエル・ペレズ‐デクエヤル、ブトロス・ブトロス‐ガリ、コフィー・アナン、バン・ギムン(潘基文)と四代の事務総長に仕える。その間、国連事務局改組、ミャンマーの国民和解及びネパールやモルジブの民主化問題などを担当。2014年1月国連事務局を退官、ニューヨークを拠点に執筆活動に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
とし
黒とかげ
ミント