出版社内容情報
第二次世界大戦の終結以降、アメリカは自らが始めたすべての戦争で敗北し、遂行した軍事介入に失敗してきた。それはなぜなのか?
本書は、この最も悩ましい疑問に取り組む。失敗の記録は時間の経過とともに日常に埋もれてしまい、アメリカ人はこの疑問を考えようともしない。
最も率直な答えは、大統領と政権が一貫して健全な戦略的思考を取り入れることに失敗し、軍事力を使うかどうかを決める前に、状況について十分な知識と理解を得ていないからである。成功するためには、予測のつかない政治、思想、うわべだけのキャンペーン・スローガン、希望的観測、そして、過去六〇年以上にわたって多くの国の軍事司令官たちの足を引っ張ってきた経験不足を、健全な戦略的思考を取り入れて乗り越えるか、その影響を最小限にとどめなければならない。この状況は間違いなく将来の大統領にも影響を与えるだろう。
ウルマンはジョン・F・ケネディからバラク・オバマ、ドナルド・トランプまでの各大統領が、どのように軍事力を行使し、戦争を始めてきたかの記録を注意深く分析している。彼の勧める解決策は、失敗の大きな原因のひとつである、国家の最高司令官の経験不足を補うために、政策決定への「頭脳ベース」のアプローチを取り入れることから始まる。ウルマンは自分の主張を自身が経験したエピソードを使って強化する。これによって、失敗の理由についての人間的な側面と洞察が提供される。そのなかには一般国民には今まで知らされなかった歴史も含まれる。
本書が訴えているのは、健全な戦略的思考と、軍事力の行使につながりかねない状況についての十分な知識と理解が欠かせないというものだ。それがなければ、失敗は保証されたも同然なのである。
内容説明
ケネディのヴェトナム戦争からブッシュの対テロ戦争、トランプの登場まで、自ら始めた戦争でなぜ勝てないのか。戦後アメリカ版「失敗の本質」。
目次
序章 戦時に形作られるシンプルな真実
第1章 なぜ失敗するのかを分析的に考える
第2章 ソ連、ヴェトナムへの道―J.F.ケネディ
第3章 泥沼化するヴェトナム―L.ジョンソン、R.ニクソン、J.カーター
第4章 悪の帝国とスターウォーズ計画―R.レーガン
第5章 冷戦終結から第一次湾岸戦争へ―G.H.W.ブッシュ
第6章 ソマリア内戦、ユーゴスラヴィア紛争―W.J.クリントン
第7章 対テロ戦争―G.W.ブッシュ
第8章 バラク・オバマからドナルド・トランプへ
第9章 どうしたら勝てるのか―歴史が答えを教えてくれる
第10章 将来への道―健全な戦略的思考への頭脳ベース・アプローチ
著者等紹介
ウルマン,ハーラン[ウルマン,ハーラン] [Ullman,Harlan K.]
米戦略国際問題研究所(CSIS)、アトランティック・カウンシルのシニア・アドバイザー。1941年生まれ。米海軍士官学校卒業。ハーバード大学(国際政治・金融)、タフツ大学(法律・外交)で博士課程修了。安全保障の専門家として、米政府や経済界に助言し、米国内外のメディアに出演している。米国国防大学特別上級顧問、欧州連合軍最高司令官管轄下の戦略諮問委員会メンバーも務める
中本義彦[ナカモトヨシヒコ]
静岡大学教授。1965年生まれ。ヴァージニア大学政治学部博士課程修了、Ph.D.(国際関係論)
田口未和[タグチミワ]
翻訳家。上智大学外国語学部卒業。新聞社勤務を経て翻訳業に就く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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