岩波ジュニア新書<br> 人類VS感染症

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岩波ジュニア新書
人類VS感染症

  • 著者名:岡田晴恵
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 岩波書店(2021/04発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784005004911

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内容説明

紀元前からわたしたちを脅かす天然痘や,ペスト,ハンセン病などの感染症.人類がいかにしてその病原体とたたかい,犠牲をはらってワクチンを開発したかを語る.そして,今度は新型インフルエンザやSARS,HIV,風疹など,新たにやってくる感染症と向き合うために,免疫やウイルスなどの基礎知識を身につけよう.

目次

序章 エリザベートとハンセン病┴マールブルクにて/トリアーのお触書/ハンセン病患者は罪を犯した?/身をささげた聖女エリザベート/無知と誤解による偏見と差別/感染症とたたかう┴第一章 神の仕業から病原体発見へ┴感染症・伝染病・疫病/科学の進歩が予防と治療を可能にする/相手を知れ!/コレラ菌・ペスト菌の発見/病原体をみる、増やす/細菌とウイルス/病原体が人に感染する経路/蚊やネズミが運ぶ病気/大航海時代の感染症伝播/瞬く間に世界中に伝播/世界人口の増加と都市化/世界のさまざまな国で生活すること/ワクチンと免疫機能┴第二章 天然痘根絶への道┴有史以来の恐怖/シルクロードと天然痘/日本への伝播/アステカ文明の崩壊/スペイン人の神とアステカの神/天然痘と神様/人だけがかかる病気/ジェンナーの種痘/権威に屈せず/天然痘根絶に向かって/根絶に貢献した人びと/根絶計画/三つの発見・発明/天然痘根絶の教訓┴第三章 ペストの歴史から学ぶ┴三〇〇年ごとにやってくる/劣悪な衛生環境のもと/ネズミとノミの媒介/肺ペスト/人心の荒廃/『デカメロン』/鞭打ち行進とスケープゴート/死の舞踏/黒死病の影響/保健所・検疫の誕生/新たなペストがこないことを祈りつつ/黒死病のあとのハンセン病┴第四章 身近に迫るエイズ┴身近に迫る怖い病気/エイズとHIV/日本でも増えている/HIVにワクチンはない/免疫とワクチン/人の免疫機構とエイズ/ふたたび日本のエイズ流行を考える/HIVに感染したら/たたかう相手は病気だけでない/ピルの解禁とコンドーム/クラミジア感染症とHIV/日本での感染増加の背景にあるもの/HIVの母子感染/本当に相手を愛すること/なぜHIVのワクチン開発は難しいのか?┴第五章 風疹と麻疹┴風疹とはどんな病気?/グレッグの発見/妊娠初期にかかるということ/沖縄での先天性風疹症候群多発/『遥かなる甲子園』/風疹をコントロールする政策/イギリス方式・アメリカ方式/風疹流行のきざし/風疹ワクチン接種のすすめ/麻疹とはどんな病気?/麻疹はいのち定め/空気感染/潜伏期間を経て/江戸時代の流行/麻疹ウイルスの起源と歴史/ハワイ・フィジーでの悲劇/麻疹によっておこる免疫抑制/高校生や大学生に増えている/終生免疫がゆらぐ/大人の麻疹は診断がつきにくい/ワクチンによる予防┴第六章 新型インフルエンザの脅威に備える┴鳥インフルエンザ/鳥インフルエンザの流行/高病原性鳥インフルエンザウイルス/鳥インフルエンザが人に感染する/人の病気に変化する鳥インフルエンザ/新型インフルエンザウイルスとは/スペインかぜの猛威/インフルエンザとは/変身するインフルエンザウイルス/種類が多いわけ/カモとインフルエンザウイルス/鳥から人へのインフルエンザ侵入/ブタと鳥と人/人と鳥/近い将来、新型インフルエンザが発生する/経済発展と物流のおよぼす影響/人口の増加と人口密度の上昇とウイルスの伝播/もし、新型インフルエンザが出たら……/日本にもやってくる/さらに続く/伝染病対策の三原則/発展途上国の問題解決を┴終章 いのちのあたたかさ あとがきにかえて┴おもに参考にした図書

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

翔亀

40
【コロナ10】高校生にやさしく語りかけ、いのちの大切さ、それを守るための感染症への心構えを静かに訴える。なめらかな語りに知らぬ間に感染症のひととおりの基礎知識を得ることができる。まずハンセン病から説き起こすのがうまい。日本のらい予防法の問題というより、中世における偏見と差別のことだ。ペストは黒死病(14世紀)のユダヤ人への迫害をクローズアップする。病原体の発見や天然痘の撲滅で医学の成果を、ひとまずは称揚した後で、エイズと麻疹へのひとり一人の対処の大切さを訴え、最後に新型インフルエンザ(鳥インフルエンザ)↓2020/05/07

ぐっち

24
天然痘・ペスト・エイズ・はしか・インフルなど、感染症の歴史を中高校生に説明してくれる一冊。2004年に出た本だが(今年の増刷の時に書き換えているのでなければ)、「もし新型インフルエンザが出たら…」からの文章が、まさに今のコロナの状況を的確に予想している。これ2004年から医療現場の肺炎の重症患者へ対応できる数を増やしていれば、今こんなに慌てなくてよかったんじゃないかな、と思った。読み終わってから、著者が今ネットでたたかれぎみの方だと知り(番組は見ていないので)、ちょっと複雑。2020/05/02

白義

24
感染症の恐ろしさはその症状だけではなく、社会的偏見や戦争の災禍などをさらに煽り、負のスパイラルを拡大させる連鎖反応にもあると言えるだろう。本書では天然痘やペスト、インフルエンザを例に取り歴史から感染症の恐怖、そしてそれに対する人類の抵抗を丁寧に描いた、入門書として良質な一冊。一つ一つの感染症から、ワクチンの重要性や避妊、公衆衛生の重要性など、感染症対策の歩みや科学的メカニズムまで基本がエピソードと共にすんなり入ってくるこなれた筆致がいい。感染症関連の本の1冊目として良心的で、まず抑えるべきとこを抑えられる2015/08/04

まいん

23
中世ヨーロッパ時代の黒死病からペスト、エイズ、麻疹、新型インフルエンザなどの病症や対策方法、感染経路についてとても詳しく書かれていました。めちゃくちゃわかりやすいです!最後あたりの新型インフルエンザがもし流行ったら…という内容の部分、まさに今起こっていることです。未来予知みたい…。早くコロナ治ってほしいですね。2020/05/06

Satoshi

12
今だから読むべき本かと思い、手に取った。天然痘、ペスト、エイズ、新型インフルと人類は数多くの疫病と戦い、誤解により患者を差別し、克服した。新型コロナも同じ流れで克服されるのであろうが、3月1日時点で情報が不足しており、解決には至らない。東京オリンピックまでに収束するのかは我々次第か?2020/03/01

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