出版社内容情報
今の社会に言論・思想の自由を徹底できる気概はあるか。共存の意志を掲げ続ける精神はあるか。デモクラシーの在り方を問い直す試み。
内容説明
デモクラシーの成熟が自由と平等を危うくしている。必然の困難を越えていくために何が必要か。現代日本への視座。文明から野蛮へ―
目次
第1部 デモクラシーと市場の選択(高齢社会のデモクラシー;ナショナリズムと経済政策;メディアの役割と読者の責任)
第2部 教育と学問が向かうところ―高等教育を中心に(社会研究における人文知の役割;大学の理念とシステム;「大学改革」をめぐって)
第3部 文明から野蛮へ?(歴史に学ぶとは;格差と分断;文明から野蛮へ)
著者等紹介
猪木武徳[イノキタケノリ]
1945年、滋賀県に生まれる。68年、京都大学経済学部卒業。74年、マサチューセッツ工科大学Ph.D。大阪大学経済学部長、国際日本文化研究センター所長、青山学院大学大学院特任教授などを歴任。大阪大学名誉教授。専攻は労働経済学、経済思想、現代経済史。著書に『経済思想』(岩波書店、日経・経済図書文化賞・サントリー学芸賞)、『自由と秩序』(中公文庫、読売・吉野作造賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はまななゆみ
13
人間はときに理不尽な感情や行動を示すので、結局、ダメダメなところがあることを多方面から展開していて考えさせられました。本質的な悩ましさは昔っからたいして変わっていないということでしょうか。2019/07/14
hurosinki
4
作者のコラムをまとめて一冊の本にしたもの。その数の多さから、旺盛な活字メディアへのかかわりがうかがえる。いかんせん量が莫大な分あまり統一は取れておらず、焦点もぼやけていると思える。しかし作者の現実から遊離したイデオロギーに与しない姿勢は一貫している。経済理論も現実との距離を常に念頭に置いた上で分析している。ピケティへの不平等拡大のメカニズムが不明瞭といった批判や、マクロ指標を見た上での日本経済の特異性、トランプ大統領の通商政策への批判などがためになりました。2019/07/19
しゅー
3
★★著者の時事問題に対する評論を雑誌や新聞の原稿から集めて再構成した本なので、まとまりが悪い。エッセンスを巧くまとめたら3分の1くらいの分量で収まる内容だと思う。「デモクラシーは、人々をアトム化し、公共的なものへの関心を弱め、自分と家族という私的世界に引きこもらせる傾向を持つ」と言う洞察から始まり、「公共精神」を養うためには人文系の教育、特に古典の学習が大切だと訴える。「~歴史的に、そもそも何が問われてきたのかを古典から学び、問題の大小軽重を見定め、そこから勇気や反省の精神を学び取る姿勢を忘れたくはない」2020/08/01
いけちゃん
0
トピックは政治行動・メディア・教育・政治経済史・官僚制等、自分の関心に近いものであり大いに惹かれたが、内容はどうしても聞きかじった話を取り留めもなく並べているように感じられてしまい、期待外れだった。半分ぐらい読み飛ばしてしまった。2019/12/01