架空の犬と嘘をつく猫

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  • サイズ B6判/ページ数 237p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120050343
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

「嘘吐き」の家系の羽猫家――3人目の子供を亡くしたことを受け容れられず空想の世界で生きる母、愛人の元にすぐ逃げる父、それの全てに反発する姉、そして、思い付きで動く適当な祖父と、比較的まともな祖母……。
そんな滅茶苦茶な家の長男として生まれた山吹は、幼い頃からみんなが唱える「嘘」に合わせ成長してきた。そして、その末に、このてんでバラバラな家族のゆく末と山吹の日常には、意外な結果が訪れる。これは、それぞれが破綻した嘘を突き続けた家族の、ある素敵な物語――。
若手実力派作家・寺地はるなが描く、ちょっと変わった家族小説が登場!

内容説明

「あんたは社会にとって、なんの役にも立ってない子」そう言われて育った羽猫家長男の山吹。だけど彼が大人になり、みんなの“嘘”が解かれたとき、本当の家族の姿が見えてくる。今大注目の作家寺地はるなが描く、ちょっと変わった家族小説。これは、それぞれが破綻した嘘をつき続けた家族の、素敵な物語―。

著者等紹介

寺地はるな[テラチハルナ]
1977年佐賀県生まれ。会社勤めと主婦業のかたわら小説を書きはじめ、2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

風眠

294
悩みなんて無さそうに見えていても、人は何かしらを抱えているものだ。それは、埋められない心の中の空洞。寂しさ、やるせなさ、喪失、怒り、哀しみ、愛も情も、色んな感情が入り混じって。それらは外側からは見えないから、いつまでも埋められないまま。親族も含めた他者に求めても、どうしようもできない事もある。せめてその埋められない何かを、話し合ったりできる状況だったら救われる事もあるのかもしれない。家族がいても、友人や恋人がいても、皆ひとりなのだと思う。ひとりを自覚した上で、寂しさを共有できるといい。難しいことだけれど。2019/07/06

さてさて

273
『現実にはないなにかを心の拠りどころとして生きることは、むなしいことでしょうか』と山吹の言葉を通して問いかける寺地さん。人は生きていく中で不安に苛まれることがあります。不安に押し潰されそうになることがあります。そんな時には真実でなくて嘘でもいいと嘘に寄る術を求めたくなります。嘘に守られ、嘘に支えられ、そして嘘に救われる。”嘘をつく”という行為の奥深さを改めて考える機会をいただきました。とても重く深い内容を、柔らかい筆致で鮮やかに描いていく寺地さんの傑作、う〜ん深い!、読後に思わず呟いてしまった作品でした。2020/11/14

しんたろー

232
寺地さん4冊目。主人公・山吹を中心にした上手くいっていない家族たちの5年毎を30年に渡って描いた話…哀しい事情や切ない想いを抱えている人も多く、単に面白可笑しい話ではないがボーっとしていながらも優しい性格の山吹が物語に温かみをもたらせている。所々にハッとさせられる素敵な台詞もあって、しみじみと読み進められた。特に、山吹と彼女・頼の関係が微笑ましく、頼の両親も素敵で癒された。今更ながらだが「家族には色んな形があるよなぁ」と考えさせられたし「幸せは身近なものなんだよなぁ」と改めて気付かせてくれた良作だった。2019/04/26

❁かな❁

230
とっても素敵な作品♡大好き♡寺地さんの作品を読むのは2作目。弟の死をきっかけに壊れてしまった母、頼りない父など問題の多い家庭で辛い子供時代を過ごす山吹。家族の中でまともな祖母の存在は大きい。羽猫家の30年の軌跡。最初は悲しく重いお話で辛かったけど時が経ち家族の状況も変わっていく。色んな出来事や言葉に何度も涙した。共感し切なくなったり感動したり。登場人物の言葉や温かさが胸に沁みる。現実にはないなにかを心の拠り所として生きるのもいいと思う。読みながら寺地さんの作品好きだなぁと何回も思った*印象に残った言葉は2018/05/10

おしゃべりメガネ

186
『大人は泣かない〜』ですっかりファンになってしまった寺地さんの作品ですが、本作で更にファン度がかなりレベルアップしました。ただゆるゆるとほっこりできる作品もいいのですが、寺地さんの作風は落ち込まない程度にシリアス感があって、色々とアップダウンがありながらも最後はキレイにまとめる作風が素晴らしいです。本作は祖父母と両親、姉の6人からなるちょっと不思議な家族の88年から始まり、30年に渡る壮大なクロニクルです。主人公「山吹」よりも個人的には姉「紅」がなんといっても魅力的でした。この生き様、アッパレですね。2019/03/10

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