出版社内容情報
仙人のように生きた画家の熊谷守一。明るい色彩と単純化されたかたちを持つ作風で知られ、晩年は花や虫や鳥など身近なものを描き多くの作品を生み出した。その作品は一見ユーモラスで、何の苦もなく描かれたように思える。しかし、若い時期から晩年までの制作を詳しくたどると、暗闇や逆光など特殊な条件下での見え方を探ったり、スケッチをもとに同じ図柄を複数の作品に用いる方法をつくり上げたりと、さまざまな探究の跡が見えてくる。穏やかな作品の背後には、科学者にも似た観察眼と考え抜かれた制作手法とが隠されている。97年の長い人生には、作風の変化はもちろん、家族の死、芸大時代の葛藤、自身の病などさまざまなことがあった。本書は日本を代表する特異な画家の生涯を抉ったノンフィクションの傑作。
内容説明
常識や社会通念を超えて生き、仙人と呼ばれた画家・熊谷守一。偉大な父のもとでの特異な幼少期。東京美術学校での若き芸術家たちとの友情。故郷・岐阜県付知の山中での孤独な生活。売るための絵を描けず、超貧乏を続けた壮年期。やがて身近の虫や草花を題材に独自な画風を築いていった。生涯、名利に背を向け、文化勲章も辞退した。日本の洋画史に大きな足跡を残した、九十七年の特異な生涯を探った、ノンフィクションの傑作。
目次
第1章 付知、岐阜、そして父
第2章 東京美術学校―友と師
第3章 樺太、「蝋燭」、裏木曽山中
第4章 結婚、二科会、貧乏、子供の死、描けない絵
第5章 新しい家、水墨画、書、広がるファンの輪
第6章 池袋モンパルナス、利行、「ヤキバノカエリ」、ギャルリ・ムカイ
終章 猫、再び書、赤ん坊、そして死
著者等紹介
田村祥蔵[タムラショウゾウ]
1937年、新潟県柏崎市生まれ。1962年、東京大学文学部卒業。日本経済新聞社入社。社会部、文化部記者を経て文化部長、論説副主幹、出版局長、取締役事業局長などを歴任。その後、日経映像社長、女子美術大学監事、財団法人清春芸術村理事などで活躍する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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