内容説明
大谷光演(一八七五~一九四三)は二つの顔をもつ人物だった。東本願寺第二十三世法主であり、また俳諧、書画をよくする文人でもあった。俳号は句仏。本書のタイトルは、その代表句である。俳句は正岡子規に私淑し、子規門下の高浜虚子、河東碧梧桐と交流した。僧衣に身を包む句仏は、なぜ俳諧の道を歩むことになったのか。句仏の旺盛な句作活動や、虚子に宛てた書簡等を手がかりに、祖師・親鸞から芭蕉へ、そして句仏へといたる日本精神史の新たな水脈をさぐる。
目次
序章 「勿体なや」―大谷句仏の誕生
第1章 二つの革新運動―正岡子規、清沢満之と大谷句仏
第2章 句仏と虚子―「虚子宛句仏書簡」をめぐって
第3章 竹内栖鳳との出会いと枳殻邸の宴
第4章 句仏の遍歴―一茶の「もたいなや」に出会う
第5章 媒介者、暁烏敏―出会いと別れ
第6章 俳号と子規追慕
第7章 「古池や」と「勿体なや」
第8章 忌日の作法と挽歌
第9章 俳句と私小説
終章 大谷句仏の孤独な一筋道
著者等紹介
山折哲雄[ヤマオリテツオ]
1931年生まれ。東北大学文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程単位取得退学。国立歴史民俗博物館教授、京都造形芸術大学大学院長、国際日本文化研究センター所長などをへて、現在は国際日本文化研究センター名誉教授。専攻は宗教学・思想史。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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