内容説明
自由奔放な野々花。プライドの高い阿佐。繊細な感性をもつ咲。一瞬で過ぎ去ってしまう少女たちの“性と生”の彷徨を掬いとった傑作長篇。
著者等紹介
朝比奈あすか[アサヒナアスカ]
1976年生まれ。2000年、大伯母の戦争経験を記録したノンフィクション『光さす故郷へ』を発表。06年「憂鬱なハスビーン」で群像新人文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
🐾Yoko Omoto🐾
146
「ふつうっていうのは、友達の中で生きることだ」小学生の頃、自分も多分そう思っていた。幸い、友人関係に苦しんだ記憶はあまりないが、陰口や無視、仲間外れといった、女子特有の気まぐれで粘っこい空気は確かにこんなだったと、懐かしい痛みが甦る。周囲と同じでこそ得られる安心感に縛られていたあの頃を思うと、何て馬鹿だったんだと苦笑いが込み上げるが、当時はそれこそ切実で懸命だったのだ。この物語の3人は、10年後もまだまだ成長途上だが、これから様々な経験を経て、人に左右されず、でも人を受け入れる自分に近付いていくのだろう。2016/10/19
風眠
135
ずっと前に「私、まともな化粧の仕方も知らなくて、ちゃんと習ったほうがいいのかなぁ」と鏡越しの美容師さんに言ったら、こんな答えが返ってきた。「それはコンプレックスを感じていないからですよ。コンプレックスを何とかしようとメイクを工夫するから、みんな上手くなるんです」と。この物語を読んで、そんなやりとりを思い出した。どこにも属さないほうが楽だと私は早い段階で思えたけれど、それでも10歳の頃の私を思い出すと、この物語のどの女の子にも心当たりがある。私もひとりが怖かった。女は、いろいろ難しい。女という生き物ゆえに。2016/07/30
なゆ
101
タイプの違う3人の女の子の10歳の新しいクラスでの出会いと20歳の再会。自分のポジションを確保するために必死な阿左の気持ちもよくわかるけど、クラスから浮きがちな超個性的すぎる二人が気になる。輪から外されてることに気付いてもいなそうな咲。そして輪に入ろうともしない野々花。20歳になった彼女らが、それなりに成長してるのが、そしてまだまだこれから変わって行けると思えるのが、ホッとした。阿左はこの先も必死ながらもうまく溶け込んでいくんだろう。ここにはあまり書かれていない咲と野々花の中高生時代も読んでみたいかな。2016/07/09
おたけஐ೨💕🥒🍅レビューはボチボチと…
85
80/100点 この作品を読んで、女性って10歳の小学生の頃から極めて面倒くさい生き物だなって改めて認識しました。10歳の女の子の計算高いしたたかさと比べて、男の子の単純で幼稚なこと。こんなに違っていたのですね。私は男で良かったです。小さい時からあんなに煩わしい世界はとてもとても…(^.^;2016/11/30
itoko♪
80
誰が誰をより優先しているか、とか自分の立ち位置を計算してしまう。そんな女子特有の感情を、3人の少女の 10歳、そして20歳に成長したそれぞれの視点から描かれている。3人それぞれが個性的なので感情移入しづらく、あまり入り込めなかった。文中でもあったけれど、女子みたいにグループ分けしない男子が羨ましかったのは、私も同じだったな。2016/08/06
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