出版社内容情報
東京の町、そして東北や九州で出会った猫のモノクロ写真にカラーで撮り下ろした風景とエッセイを付したフォトエッセイ集。
内容説明
ぴかり、と世界を照らし出す猫満載。最新フォトエッセイ集。カラー写真も多数収録。
目次
デブ猫がお腹を見せてこねくり、こねくり
猫がせっせと
よその猫うちの猫
港食堂
老猫
猫の見送り
お城で
好きな物
空き地の隅
路地を行けば
母と乗り物
著者等紹介
武田花[タケダハナ]
1951年東京生まれ。90年『眠そうな町』で木村伊兵衛賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
125
風景や猫の写真とエッセイを収録。猫の写真も風景の写真もきれいで華やかなものは少なく、うらぶれた詩情を感じる場末のものが多い。どの写真からも遠くに過ぎ去ってしまった昭和の匂いを感じて懐かしい気持ちになった。エッセイは個性的で、物語性が強くて楽しめる。これはやはり父である武田泰淳の影響だろう。お母さんである随筆家の武田百合子の武勇伝を語った、「母と乗り物」が一番面白い。2016/06/22
starbro
57
タイトルと表紙の写真に魅かれて、読みました。武田花、初読です。レーザー・ビームのような強い光線ではなく、春の陽だまりのような柔らかな光が感じられます。猫の写真は半分以下で、猫の佇まいの周辺の風景やオブジェを切り取ったイメージです。独特の雰囲気、エッセイが良い味を出しています。http://www.chuko.co.jp/tanko/2016/03/004831.html2016/04/06
yumiha
21
表紙の猫ちゃんは、不自然な格好を強いられているけれど、「光」シールを貼られちまっているけれど、中身の写真は違う。いわゆるカワユイ猫も面白い猫もおりませぬ。うらさびれた景色の中に無造作にいる猫という感じ。でも、不思議なことに猫に表情がある。猫には表情筋がないはずなんだが。添えられたエッセイも、あっさり系。カメラマン竹田花は、かの武田泰淳・百合子を両親に持つ。2016/11/06
阿部義彦
16
猫好きなら避けて通ることのできない写真家武田花さんの最新写真集+エッセイです。主に白黒ですが、カラー写真(こちらはイメージショットで猫は居ません)もあります。岩合さんのとは違って猫がなんかふてぶてしい印象。みんな正しい日本猫(しかもくたびれてます)たまりませんねー。私のお気に入りの1枚は真ん中ページあたりのカラスと一緒のツーショットです!ここだけでも本屋さんで捲って見てくださいでも欲しくなっても知らないよ。2016/04/14
あ げ こ
11
猫猫しい。実に猫猫しくて、大変いい。実にふてぶてしくて、大変いい。猫でしかない。他のなにものでもない。猫。猫。猫。他のなにものにもなるつもりがない。ただ猫であるだけ。ただ猫でいるだけ。それでいい。それがいい。何よりも。花さんはいつも通り同化している。異物感なく入り込んでいる。いつも通りウロウロしたり、フラフラしたり、それ以上でもそれ以下でもない風景の中に、すっかり溶け込んでいる。泰淳もいるし、百合子さんもいるし、お化けも来るし、おっかない人もいるし、当然猫もいる風景の中に、花さんはいつも通り、普通にいる。2018/05/06