出版社内容情報
ある町に元超エリートのイケメン、そして今はドラァグクイーンのシャールが営むお店がある。様々な悩みを持つ客に、シャールが饗する料理とは?
著者等紹介
古内一絵[フルウチカズエ]
東京都生まれ。映画会社勤務を経て、中国語翻訳者に。第五回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、2011年『快晴フライング』(ポプラ社刊)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ウッディ
833
細い路地裏の先、目印はハナミズキ。縁ある人だけが辿り着ける夜食カフェ「マカン・マラン」。リストラ寸前のキャリアウーマン、コンビニオニギリしか食べない中学生、シャールさんの優しい料理が彼らの胃と心を満たしてゆく。「スープ屋しずく‥」と似たような設定だったけど、自分的にはこちらの方が好き。オネエのママとかつての同級生の中学教師の関係。そのほかも登場人物が魅力的で、特に中学生の話は涙が出ました。面白かった。続編も読もう。。2017/10/28
fukumasagami
729
なぜならー。 本当は、私自身が空っぽだからだ。 世代のせいでもなんでもない。それは、さくら自身の問題だ。 受験とも恋愛とも、本気で向き合ってこなかった。 その都度流れに身を任せ、流され続けてきたつけが回ってきたのだ。 気づいてしまった。 空っぽなのは、他でもない自分自身だ。 マグカップを握りしめ、さくらは低く俯いた。 「空っぽなら、埋めていけばいいんじゃないかしら」 「え?」 顔を上げると、シャールが真っ直ぐに自分を見ていた。2017/03/11
さてさて
697
止まり木としての役割を果たす『マカン・マラン』。自分の立ち位置を見失い、未来が見えなくなっていく、そして自信を失っていく。そんな苦悩の日々の中で、いっ時であっても羽を休めることのできる止まり木のような存在は、誰もが必要としている場なのかもしれません。私も『裏路地のそのまた奥。人ひとりやっと通れる細い道を分け入って』、そのお店を探してみたい、そのお店に辿り着きたい、そしてそのお店で羽を休めてみたい、そんな風に感じたホッと心に安らぎを感じさせてくれる作品でした。2020/11/28
しんごろ
660
読み終わったら、すぐに次作を読みたくなるようなシリーズ物です。優しさ、力強さ、そして気配りのできる店主のシャールに、優しさ溢れる料理に、心を和ませてくれるような茶、かなり魅力的です。疲れた心身をリフレッシュさせてくれて、癒やしも与えてくれる素敵な店なんだろうな。柳田が毒を吐いて、オカマ達にツッコまれるお約束のシーンは、その場で見てみたい。『マカン・マラン』の常連になりたいな!ちょっとウルッとするところもあり、素敵な作品でした。(素敵な読友さんからいただいた本。ありがとうございます)2019/11/29
けんとまん1007
657
体にも心にも優しい料理。そこには、単に、栄養価だけはなく、そこに込められた思いも詰まっている。だからこそ、解きほぐし、明日への光が見えてくるのだろう。人は、苦労し、悲しみを知っているからこそ、他の人への思いも持てるのだと思う。それも、わざとらしさ、押しつけがましさのない、本当の優しさを。それは、強さにも通じるのではないだろうか。こんな料理、是非一度、食べてみたいっと思うし、そこにいられる人にもなりたいものだと思う。2016/11/20