内容説明
放射能のリスク、福島と日本のこれからを考える。リスクとリスクがぶつかったとき、どう選択すればよいのか。読売新聞好評連載「時代の証言者」大幅加筆の上、収録。
目次
第1部 福島原発事故に直面して(八月八日チェルノブイリ;全体の問題の専門家はいない;石棺は小さかった;命に限り―どのように生き、死ぬか;一ミリシーベルトの意味 ほか)
第2部 時代の証言(逃げない、偏らないリスクの把握;父はゼロ番「死刑囚」;拷問の夢に苦しむ;家族を救ったハンスト―大連での子供時代;家計を支える―小学校、中学校時代 ほか)
著者等紹介
中西準子[ナカニシジュンコ]
1938年(昭和13年)大連市に生まれる。61年、横浜国立大学工学部化学工業科卒業。67年、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。東京大学工学部助手、東京大学環境安全研究センター教授、横浜国立大学環境情報研究院教授、独立行政法人産業技術総合研究所化学物質リスク管理研究センター長などをへて、現在、同研究所フェロー、横浜国立大学名誉教授。2003年紫綬褒章受章。2010年には文化功労者に選ばれた
河野博子[コウノヒロコ]
1956年(昭和31年)福岡県に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業、コーネル大学で修士号(国際開発論)取得。読売新聞社会部次長、ニューヨーク支局長を経て、2005年から編集委員。主に環境問題を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おおにし
8
中西先生は原子力は自分には無縁の技術だと思い、逃れようとしてきちんと勉強してこなかったのだが、リスク評価として原子力に対して一定の判断をしていたことが間違いだったと認めておられます。原子力全体の問題の専門家がいない以上、学者は専門外だからと発言しないのではなく全体的な意思決定に参加すべきである。だから今、エネルギーや原子力の問題を一から勉強しているのだという先生の真摯な姿は科学者としてあるべき姿ではないかと思います。後半で語られる中西先生の半生記を読んで、その生い立ちこそが今の先生を作ったのだと納得。2013/05/21
メルセ・ひすい
4
中西準子!東京大学の助手時代、下水道の学会に出席する際、宿泊施設の地図や申し込み用紙をくれない。旅費を出してくれない。所属する研究室から村八分だった。ダイオキシンや環境ホルモンの問題でも環境グループや一部の研究者からの批判に晒された。そのような厳しい雰囲気にあっても屈しない。科学万能主義に陥らず専門家として為すべきことを追求する。放射能のリスクは、どのように考えればよいのか。リスクとリスクがぶつかった時、どう選択すればよいのか。公害と戦いリスク論に至った著者の半生を辿り、福島の問題を解決する糸口を探る。2013/03/02
gontoshi
1
中西さんの半生が分かる本です。 エネルギッシユな方だと思います。 いい仕事をなさってますね。2020/04/04
林道真衣
1
福島第一原発の事故に直面し改めて、リスク比較を考える前半。中西氏の半生を振り返る後半。2015/01/01
Humbaba
1
生きている以上、様々な決断を下す機会がある。その時には、リスクをどのように評価するかが重要になる。あるリスクを回避刷るための決断は、また別のリスクを高める結果になるかもしれない。自分の決断による変化についても、しっかりと考えて向きあう必要がある。2013/05/27
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