内容説明
病んでいても健やかな歌を作りたい―死の十日前に綴られ、死後発表された「実作教室」、そして歌を詠む人へのメッセージを収録。若き日から死の直前までの心に沁み入る七三の掌篇。
目次
1(皺をつまむ;くしゃくしゃ、ざわっと;人魂捕獲作戦 ほか)
2(岡崎の動物園;山菜のたのしみ;幽霊 ほか)
3(しんしんとひとすぢ続く蝉のこゑ;河野(こうの)さんと呼ぶ人
蝉と蛍―死と生のサイン ほか)
4(作歌の道具立て;サフランの歌など;十首のうち一首―私の短歌作法(1) ほか)
著者等紹介
河野裕子[カワノユウコ]
1946(昭和21)年、熊本県に生まれる。歌人。京都女子大学卒業。在学中に角川短歌賞を受賞(受賞作「桜花の記憶」は歌集『森のやうに獣のやうに』に収載)。「コスモス」短歌会を経て、1990年に「塔」短歌会に入会。2008年から宮中歌会始詠進歌選者。『ひるがほ』(現代歌人協会賞)、『桜森』(現代短歌女流賞)、『歩く』(若山牧水賞、紫式部文学賞)、『母系』(斎藤茂吉短歌文学賞、迢空賞)、『葦舟』(小野市詩歌文学賞)などの歌集の他、エッセイ集がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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双海(ふたみ)
8
病んでいても健やかな歌を作りたい―死の十日前に綴られ、死後発表された「実作教室」、そして歌を詠む人へのメッセージを収録。若き日から死の直前までの心に沁み入る七三の掌篇。鉛筆を持つ力を失っても残したかった最後のメッセージに心が打たれる。2023/10/09
私的読書メモ3328
2
掌編エッセイ集ですが、どれも高密度で、ページ数以上の読み応えがありました。生活、家族、人間、人生について、考えさせられます。特に終盤、ご自身の死を前提に書かれたものにはどうしようもない迫力があり、胸に迫ってきます。それが、夫または娘の手による口述筆記で書かれたことを知ると、なおさら……。2015/02/17
kyotosanga
2
河野裕子さんのエッセイ2冊目。 素敵な話が多く詰まってます。2014/08/19
じょうこ
1
感性の濃いエッセイで、1篇1篇を続けて読むことができず、この著者に会いたい時に本を開いて、ちょっと読んでは閉じを繰り返した。だから、読了までずいぶん時間がかかった。短歌集も読んでみることにしよう。全体、白い本の印象だったのだが、ある時、栞紐が桜色であることに気づいた。本当にきれいなピンクなのだ。タイトルにちなんで選ばれたのだろう。なぜそれまで気づかなかったのだろう。八割がた読み終わったあたりで、東京の桜も咲き始めた頃だった。白の世界にふと現れた、鮮やかな発見だった。2020/03/22