セレンディピティと近代医学―独創、偶然、発見の100年

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  • サイズ B6判/ページ数 404p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120041037
  • NDC分類 490.2
  • Cコード C0040

内容説明

「常識はずれ」が命を救う―ペニシリン、心臓カテーテル、ピロリ菌、抗うつ剤、子宮がん検診法、幹細胞、バイアグラ…みんな予期せぬ発見だった!探していなかったものに出くわしたとき、科学者たちが発揮したのは、並はずれた直感力と画期的な創造性。失敗を飛躍に、偶然を進歩に結びつけるには?数多のエピソードとともに、真に独創的な研究開発のあり方を問う、ドラマチックな医学の発見史。

目次

序論 セレンディピティ―自然科学の知られざる秘密
第1章 近代医学の夜明け―感染症と魔法の弾丸
第2章 対がん戦争の火蓋を切ったニンニクの臭い
第3章 震える水晶の糸が心臓の謎を解く
第4章 問題は人格ではなく、化学にある―精神安定剤、抗うつ薬、覚せい剤
結論 チャンスにチャンスをつかむ―セレンディピティの重要性

著者等紹介

マイヤーズ,モートン[マイヤーズ,モートン][Meyers,Morton A.]
ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校医学部名誉教授。専門は放射線科と内科。ウォルター・キャノンメダル受賞。ニューヨーク州East Setauketに妻と住む

小林力[コバヤシツトム]
医薬史研究家。1956年長野県生まれ。東京大学薬学部卒、同大学院修士課程修了。薬学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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takutorocky

14
セレンディピティを切り口に、近代医学の幅広い領域から、様々な逸話を紹介する内容。フレミングのペニシリンの発見や、毒ガスから抗がん剤が生まれた経緯に心躍りながらも、近代文明の象徴とも言える医学が幾多の偶然の上に確立されたという事実に驚嘆を覚えた。実は作者の意図は単なる近代医学史の紹介にはなく、現代の大企業や政府主導の中央集権的な研究開発に警鐘を鳴らすことにある。セレンディピティ、ひいては医学の発展は目的からの逆算からは生まれず、個人的な好奇心を追求した研究からこそ生まれるとの主張だ。何度でも読み返したい。2022/10/22

人工知能

10
セレンディピティは単なるアクシデントではなくて、何かの予期せぬ現象を注意深く観察し、その本質を鋭くつき、それを何かに活かせる準備ができた人に訪れる。医学は物理学や化学よりも複雑なゆえにそうした予期せぬ発見は多いようだ。培養していたウイルスにたまたま浮遊していたカビが付着して、そのカビが分泌している成分から抗生物質が開発されたり、薬の副作用を逆に利用することである症状を抑える薬の開発につながったり。セレンディピティを生まないいまのアカデミアのシステムに危惧を訴える本書の説得力は増すばかりだと思う。2016/03/27

渓流

4
よくもこれだけの事例を集めたと感心。医学者であっても、現役を離れ、ロッキングチェアーが友達ともなれば時間の余裕はあるんだね。でも、これは医者の手慰みではない。ノーベル賞級の科学的発見が実は、組織的大規模な研究体制から生まれたのではなく、セレンディビティによって為されたことを高らかに謳い、その科学における重要性を個々の事例で示した誠にもって知的興奮を覚醒させる本。又、個々の事例を通した医学進歩史にもなっている点も見逃せない。いや、それ以上に、未知の物に果敢に取り組む人間の飽くなき挑戦の歴史としても読める。2010/05/19

summerman

3
少年漫画みたいな読み味でしたね。孤立した天才が偏見を跳ね除けてついに成功を掴み人々を救う、みたいな話が多いから。その成功が偶然であって偶然じゃないのも少年漫画っぽい。歴史のお勉強なんかしてると衝突は必然でも開戦は偶然、みたいな展開多いけど科学的発見もそんな感じなのかしらね。まあそんなエピソードはあくまで餌で明確な主張を持って書かれた本。でも楽しませることを蔑ろにしてない点が良かった。この手の本にありがちな製薬会社批判政府批判に終始してないのもよろしかった。そりゃ研究者側にも問題はありますわな。2022/05/11

今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン

3
失敗が元とはいえ偶然にいいもの発見しちゃったら、「ラッキー!」と思えばいいのにそうは思えない科学者さんたちの可哀想なことよ。チャンスはよく準備された心にのみ微笑む、というパスツールの言葉がすべてですね。2015/06/30

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