内容説明
清国皇帝の遺物を巡り、宦官の夢、職人の面子、玉器商の企みが十重二十重に絡み合う。玉碗の発する妙音や北京っ子の熱き息遣いも鮮やかに、民国期のオールド北京がここに甦る。
著者等紹介
劉一達[リウイーダー]
1954年北京生まれ。地元住民に人気を誇る夕刊紙『北京晩報』に籍を置きながら、北京の下町を舞台にした小説を多数発表。胡同や市井の人々への豊富な取材経験から、「民俗・胡同作家」「胡同記者」などと呼び親しまれている
多田麻美[タダアサミ]
1973年生まれ。静岡県出身。2000年、京都大学大学院博士課程で中国文学を専攻していた際に北京の大学に国費留学、以来、北京在住。本名、または林静の筆名で、主に文化、芸術関係の記事を執筆する一方、翻訳も手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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熊猫
4
乾隆帝が愛した玉碗を巡る人々の群像劇。 玉碗の持ち主の宗、その養子家琦、玉碗を欲して止まぬ金の旦那あたりが話の柱になる。 他にも魅力的なキャラクタがわんさか登場して話が進む。 清朝が滅んだのちの老北京の日常、今は忘れられた風習、骨董を活計とする人々の駆け引きや騙し合い、玉に対する情念、何よりも重きを置く義と面子。 愛痛の物語だった。 いい玉って本当に美しいし、そこに素晴らしい腕を持った職人の仕事が乗れば、こんな物語が生まれても不思議ではないと思う。ああ、國立故宮博物院に行きたい…。2014/08/23
ワッピー
2
骨董と民国になった時期の北京の日常と二重にディープな世界を堪能しました。2010/02/14
CZL
1
老北京に生きる人々の、義理、面子、騙し合い、知恵比べ、人情、身分のどうしようもなさ・・・などなどが興味深い、一対の玉碗を巡っての物語。喧嘩のシーンでは中国格闘技(?)の技の名前がたくさん出て来て驚き桃の木!2018/10/21
ヨシモト@更新の度にナイスつけるの止めてね
1
物語自体もおもしろいが、胡同の暮らし、年中行事、茶、玉、服飾、路傍の食べ物、車引きや水売り、京劇、功夫、階級など、その記述から古き良き老北京の風俗を全身で感じられて心地よい。この人の書いたものを、もっとたくさん読みたいと思った。2018/09/11
あんく
1
北京の街には、なぜだかおじさんが似合う。それもかっこいいおじさんじゃなく、この作品に集う「すずめ」たちのような、ステテコや加齢臭が似合いそうなおじさんたち。玉に魅せられた男たちの悲哀が、列強に屈してゆく北京の街の悲しみと重なる。2011/04/03
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