出版社内容情報
シラノよりも滑稽でカジモドよりも虐げられた世界一醜い男の偏愛は、純粋な絶世の美女に届くのか?仏文壇の奇才が肉体と内面の美醜対決に挑む
内容説明
稀にみる醜い容姿のエピファーヌは、聖女のように優しく美しい女優エテルと知り合い、恋に落ちる。「引き立て役モデル」として世界的スターになった彼の心を、エテルの告白が刺し貫いた。「私、恋をしているの。あなたの知らない人よ」文学史上最醜の男は、運命の美女に愛されるのか。
著者等紹介
ノトン,アメリー[ノトン,アメリー][Nothomb,Am´elie]
1967年、神戸で生まれ、5歳までを日本で過ごす。ベルギーの外交官だった父親の仕事の関係でアメリカやアジア諸国を転々とし、17歳で母国に戻る。23歳で再び来日し、大手商社に1年間勤務。帰国後に出版した処女作『殺人者の健康法』でフランス文壇に衝撃的なデビューを果たす。その後も数々のベストセラーを発表。日本での勤務体験をつづった『畏れ慄いて』は、アカデミー・フランセーズ小説大賞を受賞した。辛辣でブラックユーモアに満ちた小説世界を特徴とし、現代フランス文学界でもっとも人気のある若手作家のひとりである
傳田温[デンダアツシ]
1965年、長野市生まれ。明治大学大学院文学研究科博士前期課程修了。同後期課程単位取得退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こぽぞう☆
14
図書館本。世にも醜い男エピファーヌ(名前は美しい!)が絶世の美女に恋をする。自分は美しさに惹かれて相手を愛するのに、相手には内面を見て!というのは大いなる矛盾。と、一人称よこの小説は冒頭から自分で書いている。御伽話のようにめでたしめでたしでは終わらない。2018/04/06
駒子
4
カジモドと呼ばれるほど醜い外見をしたエピファーヌと、美女エテルの物語。美女と野獣のようなふたりだけど、野獣やベルのように美しい心は持っておらず、物語はそれにふさわしい結末へと転がり落ちていく。主人公は外見と同じくらい心もねじくれているし、主人公が女神のごとく崇拝し、愛したエテルも中身は俗物でしかない。最後の「不可能な恋などひとつもないのだ。」という一文が怖い…。2016/09/12
noémi
3
現代版「シラノ・ド・ベルジュラック」のよう。主人公はカジモドに勝るとも劣らない化物のような男。感性や知性まで醜悪で愚鈍なら、幸せとはいわずとも、これほどまでの苦しみを味わうことはなかったろう。決して結ばれぬことを悟りつつ、ある美女に恋をする。その恋は聖母マリアを慕う修道士のようにストイックな愛に昇華するのだが・・・。綴られる恋文の繊細な美しさ。ダブルイメージを想起させる本歌取りの短歌のよう。言葉による喚起力の絶大といったら!静謐な雪の金沢の描写もすばらしい。血の涙を流すほどの壮絶な愛の告白をした男は・・2011/04/24
Lily
1
切なく、そして憂鬱になった。エピファーヌは文学の教養があり、彼の哲学的な思考にわたしは惹かれます。2018/07/10
アイリ@2012
0
2冊読んで満足。もう読まなくてもよい。2009/07/09
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