内容説明
つまりは、「アンチ」である。まず、基本的に反発しよう。それが近道だ。どれでもない、どこにもない、と考えていけば、自分の家になる。天の邪鬼な方法論だが、それが自分の空間を探す最も簡単な作為だと思える。無駄なことを排除し、同時に、もっと別の無駄なことを取り入れる。誰にも評価されないようなところに頭と金を使う。結局のところ、「住宅の価値」とは、その家の「主人の価値」なのである。
目次
森氏からの依頼を受けたとき
ガレージ事始め
ガレージへの道
そろそろ具体的に
工事のまえの静けさ?
工作室が早くほしい
4次元立方体について
ゲート付近の植樹指導に関する質問
風致地区とは
風致地区でもめたとき〔ほか〕
著者等紹介
森博嗣[モリヒロシ]
1957年愛知県生まれ。国立N大学環境学研究科・都市環境学専攻助教授、工学博士。1996年、『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞し、ミステリィ作家としてデビュー。以後、『スカイ・クロラ』『そして二人だけになった』ほか多くの作品を発表し、人気を博している
阿竹克人[アタケカツヒト]
1952年三重県生まれ。(有)阿竹空間設計研究所代表取締役所長。非常勤講師として名古屋大学、名古屋造形芸術大学、大同工業大学、名城大学、愛知工業大学で教鞭を執る。展開構造体の研究を通じてバックミンスター・フラーに関する講演活動や、ピアニストとして環境トークライブなどの活動も行っている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
akira
31
秘密基地的ガレージの建設過程を描いたエッセイ。 これは好きだなぁ。過程を、設計者である阿竹氏とのメールのやり取りを中心に描かれている。何気ないやり取りにも、思考とセンスが見える。 デザインの決定。施工中に起こる問題。自治体の宅地造成に関する規制への対応。ひとつの建設だけで、こんなにクリアすべき項目があるのかと、正直驚いた。 作家よりも、建築の専門家としての森先生を読める数少ない作品。それでも、求める思考はある。 「自分に対してだけは、恥ずかしいことはしたくない」2014/09/19
いずむ
18
一人暮らしをキッカケに「自分のスペース」の大切さに気付けたと思う。独りになれる、自分の好きなモノしかない空間。ボクは、それが"家"であり、同時にその価値だと思う。その点において、"収納"という風潮に対して「仕舞わないと見苦しいものばかりを所有している生活こそを反省すべき」という言葉が印象的だった。仕舞っておけるモノは、捨てられるモノ。仕舞わずにおけるモノの量が、きっとその人の今持てる限度なのだ。自分のスペースを創るという昂奮とは対極に、家という器、そこに住む人という器の大きさに、静かな思索が渦巻いてくる。2014/05/31
ねなにょ
17
内容は知らず、表紙に惹かれて。長年の夢であったガレージを建てる、建てられる作者に羨望。役所との「戦い」には、自分の過去の体験などを思い出し、一緒にイライラ(笑)。意見書は、兎に角、かっこよかった。その後の建築家とのやりとりなどにも、ハラハラしたり。やはり建築の知識がないと、いろんな意味で、怖いなぁとドキドキ。かなりのストレスレベルだったのでは。最終段階では、作者のわくわくが伝わってきて、こっちまで、うれしくなってしまった。『現場監督』の活躍と作者の『現場監督』への愛情が微笑ましい。とっても面白かった。2016/08/17
ハッピーハートの樹
12
森博嗣さんが自分のガレージを造るまでの顛末記です。趣味に没頭している時は、大人も子供もないですね。と言うか、みんな子供みたいです。建築家さんとのやり取りには、難しい専門用語がバシバシ飛び交っています。それが逆に覚えたての言葉を使いたくて、無理くり使って悦に入ってる子供のようで微笑ましい。もちろん大学で建築を教えている先生ですし、お相手もプロの建築家さんなので、しっかり考えられているのだと思いますけど。でもホント、お役所さんの対応も見てると、大人と子供の間には、年齢以外には何も違いがないのかもとか思います。2013/07/06
tokkun1002
10
2003年。ガレージを自作する。これが森博嗣流、素晴らしい。2017/07/10




