電撃戦という幻〈下〉

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  • サイズ B6判/ページ数 346p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120033650
  • NDC分類 391.26
  • Cコード C0098

内容説明

巨大な包囲陣を形成しつつ、北フランスを疾駆するドイツ装甲軍団。しかし、連合軍殱滅の一歩手前で、ヒトラーは謎の停止命令を下し、掌中の勝利は幻と化した。この第二次世界大戦最大のミステリーを、ドイツ連邦軍軍事史研究局に所属する著者が厖大な史資料を駆使して検証する。精密な分析とスリリングな描写に彩られたドイツ軍事史の精華である本書は、伝統的なシステムと技術革新との相克という永遠の課題を照射する。

目次

第6章 ムーズ戦線の崩壊
第7章 海峡沿岸部への突進と「無防備になった側背」の問題
第8章 「ダンケルクの奇跡」
第9章 西方戦役の終結
第10章 勝利と敗北:その要因

著者等紹介

フリーザー,カール=ハインツ[フリーザー,カールハインツ][Frieser,Karl‐Heinz]
1949年生まれ。旧西ドイツ連邦国防軍に入隊し、冷戦終結以前に長らく部隊勤務を務めたのちに戦史研究を志し、連邦国防軍の戦史研究機関である軍事史研究局に転属。ソ連におけるドイツ軍捕虜の実態を研究した論文『鉄条網の背後の戦争 ソ連におけるドイツ軍捕虜と「自由ドイツ」国民委員会』で博士号を取得した。現在、軍事史研究所第二部長(第二次世界大戦史担当)、ドイツ連邦国防軍大佐

大木毅[オオキタケシ]
1961年、東京生まれ。立教大学大学院博士後期課程満期退学。90年より92年にかけてDAAD(ドイツ学術交流会)奨学生として、ボン大学に留学。国際政治史専攻。千葉大学その他の非常勤講師、「昭和館」運営専門委員を経て、現在著述業

安藤公一[アンドウコウイチ]
1957年、大阪市生まれ。92年、関西学院大学大学院文学研究科修了。専攻は西洋近代史。現在、大阪学院大学、関西福祉科学大学非常勤講師。日本医療学院専門学校ドイツ語教師
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

蜻蛉切

26
上巻に引き続き、非常に興味深く読めた。 従前の「西方戦役」像を総論・各論両方に渡って再検討し、新たな、それを我々の様な、一般人にもある程度理解できる様に提示をした著者の労力に敬服する。 ダンケルクの停止命令の内情、フランス軍における硬直した指揮系統の問題。 ドイツ軍における、諸兵科連合や委任という柔軟性。(特に無線機の重要性) 但し、成功し過ぎた事により、敵よりも味方がパニックに陥った辺り、ドイツ側も一枚岩ではない。 また、その後の軍とヒトラーの驕慢を醸成した事にも注目。2019/10/19

スー

18
下巻も衝撃の連続でした。ドイツ軍の前線と後方の首脳部との温度差の違いに驚きます。前線ではフランス軍の崩壊を確信して追撃を主張するが、ヒトラーと首脳部は存在しない敵に怯え停止命令を出してしまい、最大のチャンスを逃がしてしまった。フランスの対応の遅さも衝撃でした。なんと‼️司令部には無線も電話も伝書鳩もなく、車とバイクで指示を出すが前線に届くまで48時間もかかり、たびたびバイクは事故で届かない事もあった。ナポレオンは騎兵を巧みに使いスピードと確実な情報の伝達に心掛けたのに、同じ国とは思えない程です。2017/12/31

MUNEKAZ

8
新たな戦場の方程式に「委任戦術」の伝統からなる現場の即興で対応していくドイツ軍と、1918年の方法に囚われ崩壊していくフランス軍の差。そして目前迫った大勝利に慄き、自らの威信のために全てをぶち壊しにするヒトラーの決断と、それによって訪れた「ダンケルクの奇跡」。この劇的な軍事史の転換点が、明快な文章で綴られており大変面白い。また軍事面だけでなく、それを通して「プログラム学派」を否定する内容にまでつながるのはなかなか凄いところ。最後、本当に意図された「電撃戦」が独ソ戦であるのが歴史の皮肉である。2019/08/27

toriarii

4
これまで読んだ第二次世界大戦の翻訳ものでは五本の指に入る名著。 著作者の構成の良さもあると思うが、翻訳者のわかりやすい著述が素晴らしいと思う。 読むのに基礎知識(西部戦線初期の展開)が無いと、理解するのに難しいと 思うが、一般的な通史を読んだあとに読むのには最適な本。 本書を読むとフランス電撃戦における、参謀総長-機甲師団長と軍団ー軍集団との対立が良く分かる。 ヒトラーに連なる人脈が長期戦を想定していたのに対し、マンシュタイン、及びグデーリアンらが、装甲部隊による短期決戦を志向した根拠が面白い。2012/07/08

dongame6

3
フランス戦について作戦レベルでの考察を積み重ねる事により「ヒトラーの電撃戦構想」という俗説を完全に否定した名著。下巻では有名な「停止命令」「ダンケルクの奇跡」について書かれており、その詳しい推移と、大勝利を目前にしたドイツ軍上層部が本質的に機甲運動戦を理解していなかった為生じた混乱、ヒトラーの戦況に関係ない対軍部意識による介入により英軍二十万を取り逃してしまう状況を時系列と共に克明に描いている。マンシュタインが考案しグデーリアンが実施したドイツ軍の対仏戦とは何だったのかを明らかにした目の覚めるような一冊だ2012/01/22

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