内容説明
古都から南の島へ―。老いと障害を抱えての往来の中で見えてきた人の心、福祉のあり方などをやわらかな京ことばで綴る。死の直前まで書き続けた京女・大村しげ最後のエッセー集。
目次
バリ島での老後
京都・バリ島車椅子往来
小学生の絵で見るバリの日々
バリ島で味わう食の楽しみ
大村しげ バリ島からの旅立ち(鈴木靖峯)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
movingtoomuch
3
先日、バリ島で彼女ゆかりの宿に滞在したので、現地の宿で読了。京文化の体現者の一人であった随筆家が、車椅子ユーザーになったことを機に、京の町屋暮らしからバリ島のコテージ暮らしに移行し、異文化の中で生活スタイルを変容させ、その地で終焉を迎えるという含蓄深い人生の妙。老いの実感をリアルタイムに京言葉で綴る文章は彼女独特のもの。「随筆家」とは自他のあれこれを同じテーブルに乗せて書ける人のことをいうのだな。NHKの朝ドラにすればいいのに。パートナーの鈴木さん、まめまめしく介護したアユなど彼女の周囲の人間模様もいい。2017/10/01