内容説明
インド帝国の最高責任者インド総督。インド文化を尊重した人、戦争・領土拡大政策をとった人、カネのために総督になった人、歴代総督ひとりひとりの事績をたどり、独立運動史と対極の立場からとらえた得難い一冊。
目次
第1章 イギリスのインド統治と総督(イギリス東インド会社;総督の地位と役割;総督のプロフィール)
第2章 東インド会社の時代(帝国の建設期;帝国の拡張と改革;インドの大反乱)
第3章 イギリス政府による直接統治(経済発展と繁栄;保守・自由二大政党下の総督;徳政的専制からパートナーシップへ;帝国の黄昏;インド統治の終焉)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mittsko
7
まさに表題のごとく、全インド総督の小伝をまとめた一冊。「インド総督」の称号は1833年にできたらしく、それ以前の「ベンガル総督」「ベンガル知事」も含めての33人、臨時・代理の総督はふくまれない。英国史と南アジア史との最重要な結節点でありながら、本書随所で指摘されるように、全総督のまとまった評伝はなかったし、今もまだない。とてもありがたいお仕事です。38頁にわたる序論部(「はじめに」「第一章 イギリスのインド統治と総督」)も手頃かつ充実している。なお、年号等、細部に不整合がちらほら。読者は注意されたし2018/06/05
スプリント
4
基礎知識として同時代の大英帝国の政治史を知っていると、インド総督人事やインド政策の方針の意味合いがより一層理解できると思います。2014/06/05
フェイ
3
近代のイギリス史・インド史をほとんど知らないまま読み進めたため、半分くらいの記述がちんぷんかんぷんであった。とはいえ、歴代インド総督がどのような施策を講じたのか、東インド会社の体制がどのようなものだったのかは非常に興味深いものだった。本国との関係でも、インド統治が多数のイギリス貴族を没落から救ったことは目から鱗であった。 ※本国に先駆けて行われた公務員の公開試験や外交交渉における爵位の重要性などは、ファンタジー世界観の構築にも役立つだろう。また、会社が国を運営したというのも、創作の良い材料になると思う。2014/08/19
たまむし
2
歴代インド総督に任命された人物の、経歴や政策を記載している。資料の為に読んだが、専門外の私でも理解しやすく面白かった。あくまでイギリス側からみたインド支配を描いており、インド側の見解等は殆ど見えない(という断りが前書きにも書いてあった気がする)。インド総督のみに絞られている点が個人的に有用だった。
もとせ
1
57頁引用【W・ヘイスティングズのインド行政(1772~85)は高く評価されている。対米戦争の敗北、それに追い打ちをかけるスペイン、フランス、オランダの宣戦布告でイギリスが最も苦しかった時期に、すぐれた外交力によってインドにおける作られたばかりの帝国を守り抜いた。】2012/04/17