内容説明
新しい歴史観、遂に出現。近代はアジアの海から誕生した―。戦後、誰も疑うことのなかった陸地史観による通説に真っ向から挑み「太平洋文明の時代」に日本の進むべき道を提示する。
目次
序 新しい歴史像を求めて
起之章 「鎖国」と近代世界システム
承之章 歴史観について
転之章 文明の海洋史観
結之章 二十一世紀日本の国土構想
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽん教授(非実在系)
5
梅棹の生態史観をベースにしながらも、さらに「海」という視点を加えることで更なる詳細な歴史観のモデルの構築を試みようとする野心作。 江戸時代初期の日本人町の分布図と大東亜戦争の日本軍の最大進出ラインの図を並べる、のようなこれとこれを組み合わせるとこんなことが見えるのか!という感動を何度も味わうことになる素晴らしい内容だが、おそらくは詳細に検討していけばツッコミどころが出てくるはずで、そこをどうしていくかが後世の仕事になると思う。2014/11/27
かりん
4
4:《日本の生産性の弱さの理由?》積読本整理。梅棹生態史観の修正図や、時間軸を斥けているという話が面白かった。ヨーロッパが生産性向上の産業革命を行ったのに対し、日本が資本を節約して労働を多投し土地の生産性を上げたという話は、現在に至る日本の生産性の弱さやかつての繁栄の理由(の一つ)といえるかも? また、鎖国をして大丈夫だった理由、地球も所与の物質を使うという意味で鎖国との間にアナロジーが成立するという指摘も興味深い。著者の提案である庭園の島については、流し読みしすぎて理解しきれていないので、また調べたい。2023/09/25
エドバーグ
2
世界を海洋(東南アジア)を通して概観しています。舶来品の輸入が継続すると文化が変容することを基本にしているところに感心しました。従来とは異なる観点で物事をとらえたい方にお勧めします。一方、主張を裏付ける数字がほしかったと思いました。2016/11/28
muko1610
1
★★★2011/03/11