ささやかだけれど、役にたつこと

ささやかだけれど、役にたつこと

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  • サイズ B6判/ページ数 269p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784120017841
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

92
短編13のほとんどが、中年の夫婦間あるいはもう一組を巻き込んだ一時または数日の会話や心情風景。主人公は率直に語り始めるが、最後は彼らの気持ちではなく、むしろ彼らの取る行動を描く。その行為の示すものについて考える時、彼らの心情を想像することで作品がこころに染み付く。特に、表題作の最後でパンを食べるシーンのどうしようもなさ、『愛について語るときに僕たちの語ること』での老人の語ることがとてもいい。唯一、父子を描いた『自転車と筋肉痛と煙草』には、私の中のノスタルジーをとても刺激された。2015/04/09

metoo

73
「頼むから静かにしてくれ」読了後、2作目。重なる短編もあったが、再読し更に深く潜水しカーヴァーの海に身を委ねた。どの短編も、ありきたりな日常だ。少し不幸で少しお金に困っていて少し夫婦関係が歪んでいる。1日陽を浴び過ぎて海で泳ぎ疲れた後のような、楽しかった今日の思い出の余韻が遠い過去の事のような、そんな気だるい感覚に陥る。「ささやかだけれど、役に立つこと」は、誕生日に事故に遭い昏睡状態の息子を心配する夫婦と、忘れられた誕生ケーキを焼いたパン屋の主人との話。夫婦の空虚な心とお腹を満たす悲しみのシナモンロール。2017/07/13

やまはるか

28
再読。冒頭の「ダイエット騒動」から強い既読感があったが、物語から受ける恥、痛み、苦の感覚はむしろ生々しかった。表題作は誕生日のケーキを注文してあった息子が交通事故で重体となり、事情を知らないパン屋が何度も電話をして来る。息子が亡くなった後、パン屋を訪れた夫婦に、パン屋は自分をちゃんとした人間だった時もあると卑下し「お子さんのことは気の毒だった。わたしのやったことはまったく酷いことだった」と詫びてパンを差し出す。二人は食べられる限り食べた。焼きたてのパンの匂いと味、悲しみにくれる夫婦と共に味わった。2025/01/24

yuna☆

13
元気な時よりも、ほとほと疲れた今日のような日に読むと心の奥底までじんわりと染み渡るような気がする。表題作と「愛について語る時に我々の語ること」「象」「誰かは知らないが、このベッドに寝ていた人が」が好きな雰囲気の作品だった。2015/04/30

かなた。

10
好きなのは、引越し、ダイエット騒動、自転車、ささやか。数少ない自身の選択の中で、10年前恋人伝いに春樹を好きになり、カーヴァーに興味を持つも絶版で入手出来ず、その後敬愛するトウェインのジムスマイリーを読み、たまたま婚活中の縁で本書をご好意で頂いた。巻末で柴田氏と春樹氏の繋がりを知り世界はなんと愛おしい輪で繋がっているのだろうと感慨に浸る。著名なアメリカ文学作品だからそれは当然の出会いかもしれないけれど、小中学時代夢中になった爆走兄弟の、弟の声優の実父作品に20年後夢中になる衝撃位の引力を感じた。2016/08/15

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