内容説明
『夜間飛行』『人間の大地』などサン=デグジュペリの数多くの名作のモデルとなった「フランスで最も有名な男」の飛行機に賭けたロマンあふれる生涯を、僚友の大作家が愛惜をこめて描く。空に生き空に殉じた〈フランスのリンドバーグ〉の生涯。
目次
第1部 第1歩(おとなしい少年;出来の悪い兵士;レヴァントの飛行士)
第2部 路線飛行(舗石;たばこをくわえた男;スペインの教訓;カサブランカ=ダカール線)
第3部 アメリカの征服(事務屋;昼も夜も;27歳にして;3羽のコンドルのいる台地;大きな罠)
第4部 大西洋の呼びかけ(《ド・ラ・ヴォー伯号》;《虹号》;《南十字星号》)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
5
1920年代から30年代にフランスで国民的英雄となったパイロット、ジャン・メルモースの生涯を、友人である作家がものした伝記。戦間期のフランスの航空事情も色々わかって面白い。専ら、フランスからアフリカ、そして南米までの郵便空路の開発が話の中心だが、当時の長距離飛行は命懸けだった事がわかる。メルモースも、シリアで不時着して砂漠を踏破し、モロッコではムーア人に捕まって拷問され、アンデス山中でも愛機を直して脱出した。大西洋横断飛行で行方不明になった直後に書かれたものだからか、メルモースを悼む散文詩みたいな文が多い2015/12/19