- ホーム
- > 和書
- > 文芸
- > 海外文学
- > その他ヨーロッパ文学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ボーダレス
12
ドイツとソ連という2大強国の間(はざま)で影響下にあるポーランドの舞台背景に史実として1863年、反ソ連に対する一月蜂起、またパルチザンの経験を持つ著者コンヴィッキ自身の分身として登場させたクリスマス・イヴのエピソードや持論・考察を交え、その当時 社会主義体制下にあった同国をあらゆる角度から描き、本という言論の武器「ポーランド・コンプレックス」という形で愛国心、故(ゆえ)に風刺している。縦横闊達で読みにくさはあるものの、エロスやユーモアセンスもあり興味深く読めた。2018/08/05
きゅー
2
なにこれ傑作。著者の分身コンヴィツキはクリスマスイヴ、宝石店の行列に並んでいる。彼等は納品されるか分からない宝石を待っている。そこには学生、農婦、アナーキストなど多様な人間が並んでいたが、そこに偶然いた男は言う。「おれはあの戦争の頃、おまえを殺すために何週間もつけてたんだよ」。戦争は同国民を、憎しみもなく敵と味方に分ける。途中19世紀に起きた一月蜂起に関するエピソードが差し込まれ物語に深みを与える。クリスマスイヴに彼らが待つものとは、救いにほかならないだろう。罪なき罪の意識が赦されることはあるのだろうか。2011/10/30