内容説明
「初夢のない正月」―1.1能登半島地震―突然の激震に襲われ、男は裏山に駆け上がった。直後、自宅は津波に飲み込まれた。なすすべもなくその様子を眺める男。だが、その手には分厚い原稿の束があった。それは……十二年にわたって書き続けたもの。生と死、理解と誤解、希望と絶望。普遍の理。閉塞された空間、限られた時間。癌患者と臨む極限。その全てを「観て、覚え、感じ、捧げ、描い」た「看察(看病×観察)」の記。それはコロナ禍後の今では不可能なもの。避難所を渡り歩き、支援活動をしてる時でも男は筆を捨てようとはしなかった。筆者共々、失われるはずだった作品。被災地の混沌を潜り抜け、今、ここに。
目次
閑話
徴候
感受
胸臆
汀
灯
諒解
苛且
素養
内省
挽回
星
隠処
雪
大会
境界
矜持
防遏
石蕗
因由〔ほか〕
著者等紹介
川端邦彦[カワバタクニヒコ]
石川県出生(1965年9月)/東京都出身/神奈川県にて就労。大手建設会社営業→芸・美術系予備校企画部→企業メセナ活動支援代理店→自動車レーシングチーム運営・監督及び自動車チューニング・カスタムパーツ企画開発→ITコンサルティング、等に携わる。奥能登在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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