出版社内容情報
日本海側のある海沿い。徒歩5分に自殺の名所があるオーベルジュ・ギルダに"すもも"は向かっていた。死を決意した彼女は、最後の願いに、かつて憧れていた女性・夕雨子に会いに来たが、店に入ると夕雨子が刃物を突きつけられている場面に遭遇し……!? がけっぷちのオーベルジュで紡がれる悲劇と喜劇のロマネスク。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しましまこ
20
自殺の名所から徒歩5分のオーベルジュ。店員も客も訳ありばかり。続きが楽しみ。2020/11/15
新天地
9
自殺の名所に程近いオーベルジュ・ギルダを舞台に繰り広げられる人間悲喜劇。毒親を逃れた末にたどり着いた主人公のすももが働くこの店を訪れる客は、ブラック企業に心を病んだ男、スキャンダルにまみれた女優、三角関係に疲れた女等々。店員も客も訳ありだらけの中、生死の境で命の選択をする瀬戸際のドラマは、どこか滑稽さを感じさせる読後感を持たせる。「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見ると喜劇」と言うが、誰かの人生を喜劇として笑いものにする事なく優しく微笑み迎え入れる。本作はものの哀れやえも言われぬおかしみを持っている。2020/11/30
もくもく
5
「迷うにはここはすごくいい場所。なにせ死のうと思えばここから歩いて5分だもの」 自殺の名所から徒歩5分のオーベルジュ(宿泊付きレストラン)老紳士シェフと元ホストと記憶喪失元アイドルと、そこにやってきた母親との葛藤を抱えた主人公。死にたい人を救う、ではなく、選択肢が増えるまで時間をもたせる、というスタンスが素敵2022/10/02
浜簪
5
タイトル買いなんですが、とても良かったです。自殺の名所に建つ、泊まれるレストランに訪れる人々の話なんで、働いているスタッフは良い人達なんです。が、客もスタッフ何も抱えていないはずはなく…。一度、死を考えたからこそ、その後の選択が生まれることが、皮肉でもあり、希望でもありました。2020/11/11
みやしん
4
死への一本道直前に躊躇するなら、ちょっと寄っていきんさい。最後の一線を越えようとする人へふと開ける選択肢の横道。2022/12/07