出版社内容情報
ギリシアの地で、いまだ自ら神となる妄想に取り憑かれる皇帝ネロのもとに、続々と反乱軍蜂起の報が届く。側近の裏切り、過去の因縁がネロを窮地に追い込む。一方、地中海沿岸から東へと向かうプリニウス一行は、神話の森を抜けて、砂漠の都市・パルミュラへ。そこでは東西の多様な人々が交流し、寛容で豊かな文化をつくり上げていた。ローマに戻るも、元老院から「公共の敵」として認定されたネロは、当地を脱出――。ついに皇帝ネロ編が終幕!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吉田あや
42
とうとう彼岸の人となった皇帝ネロ。次なる皇帝となるガルバは「私の許に請願に来た奴隷は全て解放する」と告知し、皇帝就任時に70歳を超えていた為「私はもう時間がない。特に間違った事をして許される時間がない。私に課せられた役割を狂いなく全うしたい」とローマ新生を誓うなど、ネロの治世は地獄のようだっただけに感動も一入と思ったら、評判は最悪、倹約家で兵士からもローマ市民からも歓迎されなかったとは…。史実として残っている資料を色々と読み、実際はどんな人で、時代の流れはどうだったのかを追いたい。2025/01/12
くりり
39
ついにネロの最後、この辺りで終わるのかと思いきや、平たい顔の国々まで行くの?2021/05/08
本木英朗
25
悪名名高き暴君か、気高き芸術家か。その生が尽きる瞬間、ネロの眼には何が移ったのか?という10巻である。一応、プリニウス一行の旅も出てくるが、やっぱりネロの死だよね、うん。まあ、俺も暴君だとしか思えないけれどさ。……ではでは、また11巻でお会いしましょう。2022/08/17
ぐうぐう
23
「私が何をしたというのだ?!」「陛下は人をたくさん殺めました…」「そっ…それは帝国の為だったんだっ‼︎」とはネロの弁。対し、ヘリウスの「あなたは陛下を守る立場にいるのではないのですか‼︎」との問いに「私が守るのはローマだ」と答えるティゲリヌス。それぞれがそれぞれに国を想う、なのに起こる解離。王はそもそも孤独である。孤独であるがゆえに王自身が誤解し、孤独を助長する。そんな王を周囲は恐れ、離れていく。孤独に苛まれたネロが、バルコニーに出た時、蜂がふとネロの胸元に止まる。(つづく)2020/10/04
スズコ(梵我一如、一なる生命)
14
再読。ネロ、本当にダメでカッコ悪い。。。なんて、人の人生を一刀両断する資格は私には全然ないんですが。古代って生きるの大変ですよね。ただ生きる、だけでも今より何十倍も大変。人生ガチャ感半端ないわ。。。2022/04/13