出版社内容情報
読める、わかる――21世紀の小林秀雄。
三十代の中頃、小林秀雄に狐がついた。美の狐だ。以来、陶器、土器、書画……と四十代の初めまで続いた眼の七転八倒を披露する「真贋」。他に「政治と文学」「『白痴』についてII」等、49~50歳の27篇。
内容説明
三十代の中頃―、小林秀雄に狐がついた。美の狐だ。以来、陶器、土器、書画と、四十代の初めまで続いた眼の七転八倒を披露する「真贋」。小説「白痴」の、息をのむ読みも。
目次
感想
「武蔵野夫人」
真贋
「ひかげの花」
ピカソの陶器
マチス展を見る
「中原中也全集」に寄せる
「潤一郎新訳源氏物語」
悲劇について
米川正夫氏の訳業〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MatsumotoShuji
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040520
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再読。ドストエフスキーの「『白痴』についてⅡ」が載っている。興味深いのは、小林秀雄のドストエフスキーについて(恐らく、ランボーについても言えるが)戦前から戦後に語り直された時、その相違性を考えてみるべきだろう。例えば、Ⅰの時は視線が主人公であるムイシュキンにほぼ中心的に論じられていたが、Ⅱではレーベジェフ、イッポリート、イヴォルギン将軍という脇役を中心に論じられている。むしろ、Ⅰを脇役たちから逆向きに論じることで、ムイシュキンを語り直そうとしているように見える。2023/08/22