出版社内容情報
読める、わかる――21世紀の小林秀雄。
あなたは果して、山の神など怖れたか――。昭和11年34歳、トルストイの家出をめぐり、正宗白鳥との間に大論争を引き起した「作家の顔」「思想と実生活」……。他に「失敗」などの軽妙エッセイも。
内容説明
あなたは果して山の神など怖れたか―。昭和一一年三四歳、トルストイの家出をめぐり正宗白鳥との間に大論争を引起した「作家の顔」…。「初舞台」「失敗」、抱腹のエッセイも。
目次
作家の顔
「文学界」編輯後記
純粋小説について
初舞台
私信
文芸月評9―岸田国士の「風俗時評」其他
井の中の蛙
文芸月評10
思想と実生活
文芸時評のヂレンマ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MatsumotoShuji
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030501
rinrin
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【BOOK(2014)-177】!!!!!!2014/08/19
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再読。ある一時期の小林秀雄は、平野謙が述べるように人民戦線の可能性を模索していたことは確かだろう。『文学界』の編集長の就任や、中野重治との「共闘」の模索(中野は泣いて断ったが)などにも戦時下に突入してゆく時代状況に対する抵抗の側面があると言える。それは、正宗白鳥との論争(「思想と実生活」論争)もその枝葉の一つであると言える。敢えて、正宗白鳥のシニスムに対して抵抗すること、そこに「私小説論」からの「社会化された私」の思想的根拠を置こうとしたと言える。2023/08/11