文春文庫<br> 下下戦記

文春文庫
下下戦記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 430p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784167341022
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

患者だって恋もすれば結婚もしたい。水俣病闘争が育んだ恋物語。差別される若者たちの憤怒を赤裸裸に描いた感動の大宅賞受賞作!

内容説明

「賠償金なんていらないんだ。人並みに恋をして結婚したい」70年代の日本を揺るがせた水俣病裁判。だが若き患者たちの本音は世間に黙殺されていた。安アパートの一室に集って自活して、支援者に振られたり神戸へと駆落ちしたり…。十代二十代の患者たちと八年間、寝食を共にした著者が赤裸々に描いた自立運動の軌跡。大宅賞作品。

目次

1 清市の岩世界
2 下下の下下、下下の世界の…
3 袋中学反戦会議
4 若衆宿
5 誰が為に弔金は生る
6 夢中への脱出
7 脱出稼業は、娑婆娑婆ダ
8 生活学校
9 にがい町
10 我が腹たち割りて坐り込まん
11 聖し、この夜
12 一人びとりの「天国党」

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

161
第19回(1988年)大宅壮一ノンフィクション賞。 水俣病に苦しむ若者たちの生態記である。 水俣病を 公害被害者の若者達の実態視点で 描く。 事件の経緯・エッソなどの 描写を一切 除き、ひたすら 若者たちの生態に注力し 描き続ける…水俣病を背負いながらも 若者たちは どう生きようとしたのか …飾り気のない 容赦ない 筆致が 印象的な 作品だった。2018/06/29

harass

60
水俣病患者の若者たちを支援し八年を共に過ごした著者が描くノンフィクション。彼らも人並みに恋もしたいし結婚もしたい! ありあまる情熱と無謀が暴走する。公害被害者運動の紆余曲折、被害者同士のいざこざ、補償金に振り回される現金な住民たち、発作と不安と鬱屈の日々、差別。それでも笑い泣きわめく彼らを神話化せずに、俗なままで自由奔放に描く。実在する彼らはロシア小説の登場人物のようだ。意外にも爽やかに終わる。大宅賞受賞作。怪作傑作。おすすめ。2017/03/30

すがし

4
世にも稀なる公害被害者青春群像劇。しかも実録。同じように被害を受けた隣人同士の確執や賠償金で家を建てる話など読みにくい話がいくらでもありまた女の子とばかり考えてあれこれ無駄話をする会話など「虚飾を配した真摯なルポルタージュ」というのとも違うゆるい実像を本当にそのまま描いた怪作。そして貴重な記録である。2012/02/07

seichan

4
人間の業を感じさせる、悲喜劇ルポ。作者の視線を理解するには、「夜の食国」も併読のこと。2011/04/13

よこづな

3
共産党や新興宗教は出てくるがキリスト教は出てこない。著者の姿勢こそがキリスト教(アウグスティヌス)的だからである。2009/05/07

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