内容説明
大晦日に繰り広げられる奇想天外な借金取りとの攻防。一銭を求めて右往左往する元禄庶民の悲喜劇を軽妙に描きつつ、鋭い人間洞察を展開する西鶴晩年の傑作。
感想・レビュー
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コカブ
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大晦日で支払に追われる人々の様子を、5巻×4話=全20話の短編にして納めたもの。当時は掛売りが一般的で、精算は年内に行った。大晦日には未支払いの家を回って代金の回収に行くのだが、そんな家はお金がないのであの手この手で支払を先延ばししようとする。ある男などは狂人の振りをして鶏の首を切ってしまうのだが、回収に来た丁稚にあっさり見破られてしまう。商人の富貴を判断するのは難しく、他の商人はおろか神様までも見誤ってしまうのだった…。ややドタバタコメディーめいていたのは面白かったが、各短編に繋がりがあれば良かった。2012/11/23