感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みや
28
不実な夫・民谷伊右衛門に殺された妻・お岩が怨霊と化して復讐を遂げる幽霊狂言。初演台本に注釈を加えたもの。原文はリズムが心地よく、案外読みやすい。当時の空気感を肌で感じるとワクワクする。お岩ばかり注目されがちだが、妹のお袖もなかなかに不幸でドラマティック。忠臣蔵要素も思っていたより多くて面白かった。与茂七、お岩、小平という主要人物を一人の役者が兼役していることに驚き。戸板の表裏に貼り合わされた場面は板に穴が開いているらしいが、早替わりをぜひ生で見たい。沢山出てくる鼠は舞台でどのように表現するのだろう。2020/08/02
そのじつ
9
江戸時代、初演時の歌舞伎の台本に詳細な校注加えた本。読むのに時間がかかりましたが、非常に面白い!舞台鑑賞後読んだこともあって、ストーリーテリングの見事さとともに、演出や仕掛けの巧みさを堪能できました。そして注釈が詳細だけど分かりやすく書かれていて、非常に勉強になりました。歌舞伎の演出上の定番、南北の他作品と共通のモチーフやエピソード、役者にちなんだセリフ、お芝居を楽しむトリビアも盛り沢山でした。手元に置いてまた読み返したい。2013/08/30
Saint Gabriel
4
当時鎖国中の日本に於いて第四世鶴屋南北という劇作家がいたとは・・・もっと評価されても良いと思った。四谷へ行くと身震いがしてしまう。2016/08/12
南註亭
4
1981年の初版刊行時に2度ほど読んだきり、久しぶりに再読。 「大南北全集」とも岩波文庫版とも、読んだ印象がどこかちがう。 本書は詳細な頭注・傍注(色刷り)がありわかりやすい。 解説と付録も充実していて、四谷怪談を読みたいひとには最適の1冊。 地獄宿の場については異本も収録されている。京極版と違ってこちらは純粋な怪談です。 オススメ度 ☆☆☆☆☆ 5つです。2012/04/18
ハムね子
2
尋常じゃなく面白くて困った。劇だからト書き?で最初読みにくかったけど、それを補って余りあるおどろおどろしさ!笑う伊右衛門再読したくなってきたわ…。こうやって読んでみると、大分変えてきてるんだな、ってのが分かる。巷説を準拠にしてる部分もあるし、こっちは純粋な怪談って感じだけど伊右衛門はなんか夫婦愛!って感じ。伊右衛門が悪い男じゃないんだよな。あ〜DVD借りてこようかな、でも独りで見るのは怖いな2012/01/16