出版社内容情報
「死ぬという経験は、人生で一度しかできない」「病気のひとつも知らないと、人の心はヒダがなくなる」「人生には今しかない、寿命なんてものは結果にすぎない」「生死することにおいて、人は完全に平等である」「さて死んだのは誰なのか」──人生の根本にかかわる問題を常に日常の言葉で語り続けることで、哲学がすべての人のためのものであることを示した著者による、「死からはじめる哲学」の精髄がここに。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
tamami
70
著者が2007年に亡くなられてから既に20年近い。思えば著者が健在の折には、新著が出る度に手に取り、一読してわかったつもりになり、哲学書を読んだという思いに浸ったものだ。本書を手に取り、初めに思ったことは、今何故本書なのか、ということだった。再読を承知で手にした本書であったが、今回、著者の文章を読んでも、それほどの思いが伝わってこなかった。20年を経過し、自分の中で「死」に対する感覚が変わってきたこともあろう。自身が死病と闘病する中で、原稿を書き続けていった著者の状況を思うとき、胸蓋がれる思いに捉われる。2026/09/12
小太郎
33
書店で平積になっていて手に取りました。昔彼女の「14歳からの哲学」を読んで、姿勢がとてもラディカルながら分かり易い言葉でかなり難解なことを表現しているなと感心したことがありました。この本は彼女が新潮に連載していた「死に方上手」や4冊の単行本から生老病死に関するものをピックアップして新書にしたらしい(後書き)でも20年も前に亡くなった彼女の本を何で今こんな形で出してきたんだろう? (人気があるから?)ぶっきらぼうで辛辣な言葉の裏に顔を見せる彼女の優しさが懐かしい。★42026/09/29
よっち
29
癌や心不全は死の条件であって原因ではない。すべての人の死因は生まれたことであるという視点から、病気や事故を恐れる日常の感覚を問い直し、生と死を平等な事実として捉えた1冊。死は経験として一度きりで生きている限りは死んでいない、アンチエイジングに走ることを批判して、老いることをおいしいと肯定する姿勢を示し、若さへの執着が精神を空洞化させると警告する内容には、悲壮感やネガティブな想いよりもむしろ軽やかなユーモアが感じられて、今この瞬間をどう生きるかを問いかけていて死を真正面から見つめる大切さを教えてくれました。2026/08/26
えいこ
8
週刊新潮に連載されていた哲学エッセイをまとめたもの。「14歳からの哲学」で知った著者。シンプルな文体で語られる思索は本質的。「すべての人の死因は生まれたことである」。生まれたら死へ向かうのが人の一生。人生は大いなる暇つぶし。そう捉えると、不思議と肩の荷がおりる気がする。人の死に方には自殺、他殺、事故死、病死の四つしかない。死とは存在がなくなること。存在がないのだから死そのものもない。言い方には身もふたもないが、諦めることは明らめることでもある。俯瞰する視座と潔い姿勢、ささやかなユーモアで心が安らかになる。2026/08/26
coldsurgeon
8
死に関する哲学エッセイ。作者は20年前に亡くなっているので、彼女の著作・哲学エッセイから、死に関するものを集めたものだ。生きているものは必ず死ぬ。だからすべての人の死因は、生まれたことである、という一文が生まれた。生きるとは、加齢すること老いること以外のなにものでもない。老成という言葉があるように、老いることは成熟することであり、すなわち生きるということは成熟することである。加齢に抗うことは、成熟しようとしないことか。老害をもたらす人は、そんな人だろうか。老いと死について、さらに深く考えたい。2026/08/06




