出版社内容情報
マスク着用のデファクト化が、パンツ以来の変化をもたらす? ポスト・コロナ文化論の試み。
内容説明
マスク着用の標準化は、すでに受け入れざるを得ない社会の現実だ。しかし、誰もが顔の半分以上を蔽い隠すという習慣は、動物間の認知とコミュニケーション、さらにはヒトの性にかかわる意識をも、大きく変えてしまうかもしれない。コロナ禍の象徴・マスクは人類史上、パンツにも匹敵する行動変容をもたらすのか。霊長類学と人類学、社会学や文学など多様な視点から考える、ポスト・コロナ文化論の試み。
目次
1 マスクをするサル―ポスト・コロナの新しい感性
2 マスクと女らしさ―陰部を隠すという歴史的決断
3 マスクは異性を誘引するか?―口唇部とコミュニケーション
4 マスクと男らしさ―顔面装飾・形質置換、髭の進化史
5 乱婚から一夫一婦制への人類史―サルとヒトの性行動
6 性の解放と人類の動物化―社会的交換・抑圧・不倫
7 デファクト化するマスク―新たな共同体の感性
著者等紹介
正高信男[マサタカノブオ]
1954(昭和29)年大阪府生まれ。霊長類学・発達心理学者。大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了。京都大学霊長類研究所教授を務めた。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マーブル
12
「霊長類学と人類学、社会学や文学など多様な視点から考えるポストコロナ文化論の試み」 本書の紹介文にはそうあるが、コロナに便乗したとしか思えない。 とは言え、マスクについての考察に関しては期待はずれであったが、面白くなかったわけではない。筆者特有の散らかった話題による世間話と思えば、むしろ色々と収穫はあった。 貨幣の起こりと形にまつわる女性との関係。 服装の始まりについての霊長類学者の考え。 谷崎潤一郎の文学とフェティシズム。 オルテガの予見していた大衆像。2023/05/02
おさと
4
もともとは隠すために履き始めたんじゃないよ、パンツ。というところから、マスクで隠すことによって、口を見せるのは恥ずかしいってことになっていくんじゃない?という話と、性の話と。2021/06/06
水月
4
なんでパンツを履いていないと恥ずかしいと思うんだろう。みんなが履いていなければ動物と同じように恥ずかしくないのに。なんでそもそも履き始めちゃったんだろう。そのきっかけは今のマスクと同じような止むに止まれぬ理由があったんではないかと著者は推測する。人のメスに毎月起こる月経は、生物の世界からすれば生存に不利な状況になる。それを隠すためにパンツを履き始めた。それに伴って隠された部分が興味と羞恥心を引き起こす。ではこの先マスクはどうなるのだろう。人類がかつて経験したことがないコミニケーション世界の中のペルソナか。2021/05/02
わたあめ
2
図書館で何気なくかりて読んでみた本でしたが、かなり面白い内容の書籍でした。人類の男性が髭をはやしているのは、ハンディーキャップ理論によるもの→ハンディーな状態を背負って生き残った個体こそ、価値が高いなど説明があり、自分自身も髭が濃い体質なため、なんで髭が生えているんだろうと疑問に思っていてネットで検索をかけても納得の理由は見当たらなかったですが、本書を読んでなるほどと納得がいきました。 また、人の本来のプログラムである乱婚から現在の一夫一妻制になった歴史についても書かれており、面白いなと感じました。2023/05/06
Kota Жал O
1
「人類においてすら、個々人の感情表現において主要な役割を演じているのは顔面の口唇部であることに変わりはないということであり、(中略)注目しなければならないのはマスクを着用することが浸透することで、その問題の口唇部が隠されてしまったということの方だろう。マスクを着けていると、相手の目と眉しか露出していない。これで相手の気持ちがマスクなしの時のように忖度できるとは、到底考えられない。(中略)社交不安障害に苦しむ人は、マスクを着用することから生じる不便さを逆手に取ることを思いつき、そのデメリットを活用してきた」2021/09/26
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