出版社内容情報
長生きのみを目的にする医療にはいかなる歪みが生じるか。臨床医が遠慮忖度なく現代医療の抱える根本的な矛盾を衝く。
内容説明
人は必ず老いて、寿命が尽きて死ぬ。医者も患者も家族も、国家も、この当然の真理を直視できずに目を背ける。「人生百年時代」などと浮かれているが、この長寿社会は人々に幸福をもたらしているのか。長生きのみを目的にする医療にはいかなる歪みが生じるか。癌患者にとって本当のハッピーエンドとは何か。臨床医として常に「死にゆく患者」と共にいる著者が、遠慮忖度なく現代医療の抱える根本的な矛盾を衝く。
目次
1 最期の選択(癌患者のハッピーエンドとは何か;人工呼吸器につなげるのか ほか)
2 患者の事情(画面を見ずに患者を見よ;癌の心配しながら煙草を吸っても ほか)
3 命とカネ(厚労省が口にしないこと;救命艇に乗るべきは誰なのか ほか)
4 医者の事情(新人医師の採用基準は;引継症候群 ほか)
著者等紹介
里見清一[サトミセイイチ]
1961(昭和36)年鳥取県生まれ。86年東京大学医学部卒業。国立がんセンター中央病院内科などを経て日本赤十字社医療センター化学療法科部長。杏林大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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大先生
10
ポリコレなんて気にしないフランクな感じが素敵です(笑)ファンになりました。KY感に共感しているだけかもしれませんが(苦笑)私が肺癌になったら、里見先生に診ていただきたい。私は煙草吸いませんが、人生何が起きるか分かりませんからね(酒飲みなので、肝臓ガンの方が可能性高いか…)ピンピンコロリが理想とは言っても現実は厳しいんですね。回復の見込みのない延命は不要という御主張には賛成です。国民皆保険制度の崩壊が近づいているわけですから、将来世代のために出来る事はしたいですよね。たとえ、自分の寿命が多少短くなっても。2021/08/03
ぶっくlover
9
現役の医師が書いた医療の実状。 逼迫している医療保険制度のこと、医師の働き方改革のこと、死についての世の中の風潮のこと、接してきた患者のこと等々… 「75歳以上の高齢者には延命医療ではなく緩和医療を」「高額薬は国を破綻させる」と訴えている筆者、今の医療の在り方を考えさせられた一冊でした。2020/09/05
乱読家 護る会支持!
6
人は必ず老いて、寿命が尽きて死ぬ。医者も患者も家族も、国家も、この当然の真理を直視できずに目を背けている。 人生百年時代が本当に素晴らしいものなのか、長寿は本当に素晴らしいのか??? 新型コロナウイルスは感染力が強くインフルエンザよりも致死率は高い。しかし、ガンで無くなる人、インフルエンザを原因とする肺炎で亡くなる人は、新型コロナで亡くなる人よりはるかに多い(2020年4月の段階では) この新型コロナは、「人は死ぬ」という客観的事実を直視できない現代人によるパニック現象のように思う。2020/04/13
takao
4
ふむ2024/03/18
Asakura Arata
4
「人の命は貴重」という信念から、延命措置は行われるのだろうが、実際は本人にとって拷問と変わらない仕打ちを受けることが多く、生命の尊厳もへったくれもない。滑稽でさえある。 患者さんからの贈り物については、自分の担当科では、「敗北」と言われていた。これは大人に限るが。実際、贈り物ありの患者さんは、ぱっとしない。自分の腕が悪いのだが。2023/09/23