内容説明
現在、世界にある君主国は二十八。その中で最古の歴史を誇る皇室は、他の王室、そしてすでに王室を失ってしまった国々からも、深い敬意を向けられている。それは長い歴史に加え、先の天皇をはじめとする皇族の人間力によるものであり、日本外交にも大きく寄与してきた。皇室という外交資産は、新たな令和の時代にどう生かされるのか。これまでの歩みはどう受け継がれていくのか。歴史的エピソードに照らして考える。
目次
第1章 アラブ王室の皇室への敬意
第2章 「慰霊の旅」が果たした大きな役割
第3章 スペイン王室と昭和天皇の知られざる交流
第4章 「久子妃の活躍」と女性宮家創設問題
第5章 天皇、皇后への惜別の辞
第6章 新天皇へ受け継がれるもの
著者等紹介
西川恵[ニシカワメグミ]
1947(昭和22)年長崎県生まれ。71年毎日新聞社入社。パリ、ローマの各支局、外信部長などを経て、2014年から客員編集委員。仏国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『エリゼ宮の食卓』(サントリー学芸賞)など。(公財)日本交通文化協会常任理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ごへいもち
17
行動や発言に細かい配慮が必要な生活はダラけとかサボりとかとは無縁のとてつもない努力 をされていることに頭が下がります。ところで流行りっぽいタイトルと内容は少しズレがあるように感じた。2020/11/07
あんさん
12
昭和天皇、上皇陛下、今上陛下の3代にわたる皇室外交エピソード集。日本にとって外交ルートの一つとして、皇室がとても貴重であることがわかる。欧州だけでなく、中東やアセアン王族への目配りなど、長期的な目線をもった国際関係上の配慮が感じられた。一方で皇族の方々のご負担はいかばかりか。「伝統への愛着と近代的なものへの開放性が他に例のない形で融合した日本は、今後も私共を魅了しつづけるでしょう。陛下は、この変わらぬ『日本の魂』を体現され、貴国民の敬愛と国境を越えた尊敬を集めておられます」(ルクセンブルクのアンリ大公)」2025/01/18
奏市
12
著者の『ワインと外交』が味わい深く、印象的だったので、時世もあり手に取った一冊。全体を通じて、皇室の方々の心温まる人間味を知り、じんとくることが多かった。また、皇室の崇高な精神性を感じ、読んでいて凛となった。昨今の安全保障政策強化に対して、先の天皇の慰霊の旅やおことばがバランサーとなり、東南アジアの国々にある種の安心感を醸成したとの考えは、効果の程度はともかく、皇室の外交的役割が意図せずともわかりやすく現れていると感じた。皇室を通じた中東の国々との良好な関係、オランダとの悲しい歴史、色々勉強になった。2019/08/16
まっきー☆
11
図書館本。昨年の新しい元号に変わった際に何かの記事を見て読みたいと思った本。既に世の中の大半が戦争を知らない民で、何故天皇が象徴になったのかもよく分からない者ばかりだとおもう。あの敗戦後、どうやって日本が国際社会の地位を再構築してきたのか、それは上皇様ご夫妻の努力であったことは間違いない。そして今上天皇がこの先、どんな日本の象徴として生きていかれるのか。普段考えることも知ることもなかなかないトピックだが、日本人として知っておきたいと思った。様々なエピソードに涙がジワリと出ることも。読んで良かったなと思う。2020/07/26
hitotak
11
皇室賞賛本かと思ったら、皇室が日本の外交にいかに価値ある存在であるかということが書かれている。特に同じ君主制のある国々との外交において、親善・友好への貢献度は計り知れない。天皇家の方々の個人的資質に拠るところも大きいだろう。国賓としてVIPを招く国を決めたり、皇族が公式に訪問する国の選定する際の外務省内の各局の綱引きも興味深かった。2020/05/16