出版社内容情報
第一次資料をどう読むべきか。研究の本道を説きながら歴史捏造、歪曲の構造を解き明かす。
内容説明
中国、韓国から「歴史問題」ハラスメントが繰り返され、終結しないのはなぜか。彼らに迎合するかのように新聞記者やテレビ番組制作者が歴史を歪曲してしまうのはなぜか。問題の根本は「歴史リテラシー」の欠如にある。第一次資料の読み方、証言の捉え方等、研究の本道を説き、慰安婦、南京事件等に関する客観的事実を解説。プロパガンダに与せず、イデオロギーに依らず、謙虚に歴史を見つめる作法を提示する。
目次
序章 歴史問題はなぜ終わらないのか
第1章 歴史論議とは反証可能でなければならない
第2章 「南京事件」「慰安婦問題」の論議を冷静に検討する
第3章 反証を無視すれば捏造になる
第4章 中国と韓国が反証不可能な論議をするのには理由がある
第5章 歴史修正主義とはなにか
第6章 歴史研究に右も左も国境もない
著者等紹介
有馬哲夫[アリマテツオ]
1953(昭和28)年生まれ。早稲田大学社会科学部・大学院社会科学研究科教授(メディア論)。早稲田大学第一文学部卒業。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得。2016年オックスフォード大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちくわん
21
2017年9月の本。著者2冊目(1949年の大東亜共栄圏)。歴史問題リテラシーを解く本書は、なかなか激しい。欧米の公文書を第一次資料とするご自身の手法に自信あり。そのため他に対して厳しい評価となる。他の本も読んでみたい。歴史は形が残っている訳ではない。しかし、民族を操る、心の拠となる。2021/02/27
軍縮地球市民shinshin
16
本書では歴史学研究における史料の取り扱い方について、詳細にふれられている。というか、それを南京事件や「従軍慰安婦」を例に説明した、という感じか。史料は同時代の当事者のものならばなんでも信用していいわけではない。特に近現代史の回想録や個人的な日記は要注意だ。他の史料と整合性があるのか批判をする「外的批判」、史料内での矛盾した記録がないのか検討する「内的批判」を経て、はじめて史料として採用できる。これは史学科で教わることだが、守っていない「研究者」も実際いる。歴史研究について知りたい人は必読。2017/10/13
templecity
13
右でも左でもない著者が歴史は正しい事実・検証によって語られるべきを主張。諸外国の公文資料館で事実を見て検証。中韓の歴史捏造にも焦点を当てる。建国の正当性を国民に植え付けるために教育している。南京虐殺や従軍慰安婦など。マスコミは裏を取らないこともある。太平洋戦争も1944年頃に講和していれば多くの犠牲者を出さずに済んだがルーズベルトが真珠湾の復讐をするために拒んだとか。 2020/07/25
kiki
13
真実が語られている歴史資料は、一次資料から読み取れば良いというものではない。例えば、共産主義国の場合は独裁体制のため、イデオロギーを国民に植え付けることが主である。したがって、一時保存資料はバイアスがかかっている。人が書き残す以上、誰が何の動機で書き残すこととしたのかが重要となる。しかし、その動機を証明することは難しい。よって、反証可能性のある資料なのかが重要な点である。反証可能性は二つの要素から成り立つ。第一は、誰でも読むことができて内容が確かめられること。第二は、文書が相互補完的な形で残っていること。2019/04/27
KAN
12
昨年読んだ「歴史問題の正解」の著者だと、読み始めて気がつく。最近一連の渡辺惣樹氏による第一次、第二次大戦に関する「歴史修正主義」(ここではイデオロギー偏向した従来の歴史観を修正する~いい意味で)的な一連の著作を読んできただけに、著者の歴史資料を通しての歴史の事実を明らかにしていく姿勢には通じるものを感じる。やはり米国から、英国から、そのほか他国が見つめる観点を通してこそ本当の自分の姿が浮き彫りになってくる。日本の教育・マスコミはそういう点では井の中の蛙そのものであり、なんとかしないという思いを強く持つ。2017/11/09
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