出版社内容情報
これは民主主義の自爆である――。橋下徹氏と対決した社会学者が、その本質をえぐり出す。これは「民主主義の自爆」である。エリートとインテリを敵視する「思想」が、なぜ世界を席巻するに至ったのか。橋下徹氏と対決した経験も持つ社会学者が、起源にまでさかのぼって本質をえぐり出す。
薬師院 仁志[ヤクシイン ヒトシ]
内容説明
アメリカ、フィリピン、ヨーロッパ…。社会の分断を煽動する政治家が、至る所で熱い支持を集めている。エリートとインテリを敵視し、人民の側に立つと称するその「思想」は、なぜ世界を席巻するに至ったのか。ポピュリズムは民主主義にへばりついた「ヤヌスの裏の顔」であり、簡単に駆逐することはできない。橋下徹氏と対決した経験を持つ社会学者が、起源にまでさかのぼってその本質をえぐり出す。
目次
序章 ポピュリズムの危うさを実感するために
第1章 民主主義とポピュリズムの不可分な関係
第2章 現代型ポピュリズムとはどういうものか
第3章 民主政治を不安定化するもの
第4章 右派?左派?それとも極右?
第5章 二一世紀の民主主義
終章 ポピュリズムの危うさを確認するために
著者等紹介
薬師院仁志[ヤクシインヒトシ]
1961(昭和36)年大阪府生まれ。社会学者、帝塚山学院大学教授。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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skunk_c
22
すでに読んだ同名の中公新書に比べ、「ポピュリズム」という言葉の自分にとっての語感に近い内容で腑に落ちた。要するに大衆扇動であり、その手段としては嘘でもかまわないデマゴギーであり、一貫性のない日和見主義であると。著者は学者でもあり、特にフランスには造詣が深い様子でルペンなどのフランス事情だけでも一読する価値あり。ただ、内容に重複が多く、もっと少ないページでまとめられたらとも思う。そういう「単純化」がポピュリズムの一部なのかもしれないが。ポピュリズムが議会制民主主義の中でしか生きられないとの指摘は本質的だ。2017/06/10
tetsu
11
★3 国民投票などでは論点を明確にし賛成か反対を決める。ちょっと前の小泉純一郎の郵政民営化や最近のブリグジットなどで、民意を反映する一見いい方法のような気がしていたが、そうでもない。 ポピュリズム自体は悪いことではないかもしれないが、政治に利用され誤った方向に進む危険性をはらむ。 権力をかさにマスコミなどをコントロールし世論形成し大衆を扇動する恐ろしさは理解すべきかもね。2019/12/13
zel
10
反ポピュリズムを突き詰めると反民主主義になってしまう。などポピュリズムをとおして民主主義についても考えられる。議会制民主主義の破綻によるポピュリズム。不満の捌け口としてのポピュリズム。行き着く先は独裁や全体主義。古本でとても安く買った。しかもナショナリズムと間違えて。けど、勉強になりました。2020/08/17
やまやま
9
著者の指摘するポピュリズムの本質は、人々の雑多な不満ー特に日々の生活における不安ーを一気呵成に解消できるという演出に秀でることで、議会政治の多数原理を利用して国内における非合理的な支配を正当化することである。この説明は理解できるが、この原理で世界が覆いつくされた結果は部族社会への先祖帰りで、一方、デジタル化・知識化される社会はそのような支配原理を基本的に拒むのでは、とも考える。人間は非合理な行動原理を持つため、ポピュリズムやファシズムに傾くときもあれば熟議をもって他者との関係作りにいそしむ場合もある。2021/01/28
ライクロフト
6
ポピュリズムとは何で、なぜ登場し、どのように広がったのかを分かりやすく解説した本。代議制民主主義を採用している以上、避けることが難しい。国民を分断して対立を煽ることで議論と調整による意思形成を阻害するのがポピュリズムの本質。勝ち負けと多数派支配しか残らず、そこから独裁や全体主義まではあと少し。2018/01/18