内容説明
一九二一(大正十)年七月二十三日、上海の高級住宅に十三人の中国人青年が集まった。そこで行われた会合こそ、中国で「歴史的壮挙」とされる、中国共産党第一回全国代表大会である。欧米列強に蹂躙された国土を取り戻すために命を懸け、過酷な運命に翻弄された十三人。彼らの青春群像を丁寧にたどっていくと、従来、中国共産党が意図的に軽んじてきた、党創設にまつわる日本の影響が浮かび上がってくる。
目次
第1章 帰国子女だった李漢俊
第2章 維新號事件で検挙された李達
第3章 西郷隆盛に憧れた周佛海
第4章 日本びいきの思想家、陳独秀
第5章 芥川龍之介が目にしなかった上海
第5章 上海に勢ぞろいした社会主義者たち
第7章 中国共産党第一回全国代表大会
第8章 一九二七年、李大〓(しょう)の死、そして李漢俊
第9章 十三人の男たちのその後
最終章 取り違えられた写真―陳独秀
著者等紹介
譚〓美[タンロミ]
1950(昭和25)年東京生まれ。本籍中国広東省高明県。ノンフィクション作家。中国人の父と日本人の母の間に生まれ、中学まで日本の中国人学校で学ぶ。慶應義塾大学文学部卒業。広東省国立中山大学講師などを経て独立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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calaf
14
中国共産党って、当然といえば当然ながら出来たのは20世紀に入ってからなのですね。そして、初期のメンバーにはいろいろな人がいたようで...何より、日本に関係(留学経験)のある人がこんなにいたとは知りませんでした。2014/07/25
BLACK無糖好き
7
1921年7月 上海で開かれた歴史的な中国共産党第一回全国代表大会に参加した13人を中心に、当時の会議の様子やコミンテルンの関わり、中国人が新しい思想をどう取り込んできたかなどが書かれています。最初の13人の内、日本留学経験者が4人、その一人の董必武は法政大学を卒業しており、1949年中華人民共和国建国式典で天安門の楼上にのぼる事ができたのは13人の中で毛沢東とこの董必武だけだった。他のメンバーの半分以上は激しい時代のさなかで犠牲となる。特に毛沢東と張国燾の苛烈な主導権争いは興味深い。2015/10/27
bittersweet symphony
3
キッチリした中核コアメンバーを中心に必然的に大きくなっていたわけではなく、雑然とした小さな寄合所帯が結果的に巨大な独裁組織へと転生していったのが不思議に感じられる、悲しい最初の13人の列伝。2018/01/31
yendows
3
1921年の中国共産党第一回全国代表大会を軸に、そこに集った、13人の結党までの歩みとその後。中国の国難を打開しようとした彼らの多くは、すばやく近代化をするために、先に西洋化に成功した日本に積極的に留学し思想の輸入を行った。コミンテルンの手が入るまでは社会主義思想の多くを日本から学んだようだ。結党後、終戦、中華人民共和国の誕生、文化大革命と進むうちに、結党時の歴史は忘れられ、同時に日本と彼らの関係も振り返られることがなくなった。その忘れられた視点を提示されることは、今の中国を理解するのにも役に立ちそうだ。2010/11/10
Taq Asaq
2
先に読んだ「革命いまだ成らず」が面白かったので、同じ著者の作品をもう1冊一気読み。いまや世界最大の党である中国共産党も、結成時の第一回党大会に集まったのはたった13人だった。その13人のたどった運命を記す。会場を提供した李漢俊、西郷隆盛に憧れた周佛海ほか、日本への留学生が中心になっていたんですよ。もちろん13人の中にあの毛沢東もいたが、最初はあまり目立たない存在だったとか。大河の流れも、遡れば杯を浮かべる程度の湧き水である。この弱弱しい集団が血で血を洗う抗争を経ていまここにある。実に途方もないことだよね。2017/09/04
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