内容説明
なぜ、いじめは起こるのか。いじめっ子といじめられっ子の境界には何があるのか。大人の目を狡猾に避けて隠蔽されるいじめは、理想論ばかりの「今時のいじめ」論からは絶対に理解できないし、解決もできない。「いじめの根絶は不可能」という現実を明確に直視した上で、いじめのメカニズムを明らかにし、具体的にどう対処すればよいのか、わかりやすく提示する。
目次
第1章 低レベルな「いじめ論」を排除せよ
第2章 スクールカーストで「いじめ」を把握する
第3章 「いじめ」の発生メカニズムとは
第4章 かくして「いじめ」は隠蔽される
第5章 暴言よりひどい、「いじめ妄言」を正す
第6章 規範の内面化と「いじめ免疫」
著者等紹介
森口朗[モリグチアキラ]
1960(昭和35)年大阪府生まれ。教育評論家。中央大学法学部卒業。東京都職員として学校勤務を経験(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テンちゃん
99
いじめは絶対許せない(#`皿´)被害者は地獄!加害者は、脅されて仕方なく加害者になる構図もあるかもしれない(;>_<;)大人社会のいじめの構図が無くならなくて、どうして子どもたちのいじめが無くなるのだろうか(`へ´*)ノいじめ教育は幼児期から必要だが、各会社、地域においてもいじめ教育は必要だと考える(`□´)自殺者が多発する日本!今こそみんなでいじめについて考えよう!2015/07/05
みゃーこ
49
大人の世界でも自分の能力相応のハラスメントと付き合って生きているように子供の世界にもいじめとリアルに付き合いながら生きているという現実を見ることから議論を始める本書は「いじめはなくならないし、むしろ必要」とまで言い放ち、いじめが発生するメカニズムを説明。ゲーム理論や事例検証を添え、いかに世間のいじめに対する対策が絵空事(筆者はいくつかの妄言と言い、妄言の具体例を紹介している)を断罪し、校内犯罪系」と「非犯罪いじめ」に分類しそれぞれの対応策を明確に提示している。2015/04/14
テツ
16
どんな社会でも弱い人間がいじめられるという現実はそれが良いことだとは勿論言わないが当然ある訳だし、学校でだけそれを撲滅することなんて出来るわけがない。そうした綺麗事を並べずに現実を指摘する語り口は良かった。自分はいじめたこともいじめられたこともないけれど(そもそも夜遊びが忙しくて学校にあまり行かなくなったので)一つのいじめを無くすなんて簡単だと確信を持って言えるよ。自分のガキをいじめた相手を河原にでも連れて行って泣いて謝るまでぶん殴ればいい。それが出来ないのならきっと難しいんだろうな。2017/07/14
カッパ
14
いじめの入門書と言える本だと作者は書いている。本の中では4つのいじめのタイプや発生のメカニズムなどをわかりやすく解説している。いじめられる被害者は悪くないというわけではない場合もある。しかし、加害者からはじまるのがいじめである。いじめはなくならないと思う。でもいかに対処していくのか、過激なものが起こらないようにはできるのではないあかと提案している。 私自身はどうだったか。被害者というようなターゲットにはなったことはない。根暗ながら静かな女子としてつるんでいたのだろう。2019/08/23
Wataru Oya
11
スクールカーストの視点が導入されており、いじめの構造が忠実に書かれている。いじめの実像、発生メカニズムを冷静に分析している点が評価できる。妄言の紹介も面白い。非常にリアリティな本になっている。「詰め込み学習による“落ちこぼれ”を減らす=いじめを減らす」という文科省の浅はかな考えにより私たち“ゆとり世代”は生まれた。色々な場面で根拠もなしに社会的に低能だと思われている事も含めて、ある意味ゆとり世代は犠牲者である。来年から教壇に立つ身としていじめ問題に真摯に向き合っていきたいと思う。2014/12/21