出版社内容情報
閉塞感、事なかれ主義、蔓延する弊害の数々……。あなたの会社もコンプライアンス病?
内容説明
「申し訳ございません。違法行為を二度と起こさないよう、コンプライアンスを徹底いたします」とは、不祥事を起こした際の謝罪会見での常套句。だが、こうした「コンプライアンスとは単に法を守ること」と考える法令遵守原理主義そのものが、会社はおろか、この国の根幹をも深く着実に蝕んでいるのだ。世の中に蔓延する「コンプライアンス病」の弊害を取り上げ、法治国家とは名ばかりの日本の実情を明らかにする。
目次
第1章 日本は法治国家か
第2章 「法令遵守」が企業をダメにする
第3章 官とマスコミが弊害を助長する
第4章 日本の法律は象徴に過ぎない
第5章 「フルセット・コンプライアンス」という考え方
終章 眼を持つ組織になる
著者等紹介
郷原信郎[ゴウハラノブオ]
1955(昭和30)年島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事などを経て、2005年から桐蔭横浜大学法科大学院教授、同大学コンプライアンス研究センター長。警察大学校専門講師、防衛施設庁や国土交通省の公正入札調査会議委員なども務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てつのすけ
39
法令遵守、いかにも聞こえのいい言葉だ!この言葉を金科玉条のように使い、本来の法の主旨を歪めているのがマスコミだろう。マスコミも、NHKを除き利益を追求する企業だ。このことを考えると、視聴率がとれる番組、読者が喜ぶ記事が増えるのは当然だろう。我々は、本来の法の主旨を理解し、自分で考え判断できる能力を身に付けなければならない。このようなことを考える一冊だった。2019/11/21
こも 旧柏バカ一代
24
カルロスゴーン、桜を見る会などでよく解説をしている郷原さんの本。法令遵守。契約書とかに書いてある言葉だが・・ 法令遵守してたら違法な残業代不払いがあるはずが無い。 でも、現に蔓延ってる。日本は法治国家のはずだが、憲法違反の罰則は無い。法令遵守という言葉が破る奴等の言い逃れへの方便に使われている。国会では最近頻発する言葉でもある。 軽いよな。。 2020/02/13
さきん
23
「申し訳ございません。違法行為を二度と起こさないよう、コンプライアンスを徹底いたします」とは、不祥事を起こした際の謝罪会見での常套句。だが、こうした「コンプライアンスとは単に法を守ること」と考える法令遵守原理主義そのものが、会社はおろか、この国の根幹をも深く着実に蝕んでいるのだ。世の中に蔓延する「コンプライアンス病」の弊害を取り上げ、法治国家とは名ばかりの日本の実情を明らかにする。 2016/01/20
ちくわん
18
2007年1月の本。談合、ライブドア、村上ファンド、耐震強度偽装、パロマ工業。タイトルは「今、日本で行われている法令遵守は、本質的な誤りがあるので、このままでは日本の法制度が滅びかねないことに対する考察」あたりでは。日本は法治国家ではあるが、法づくり・運用が不得意。人材不足。だから、こうなった。腑に落ちない。2021/07/23
忽那惟次郎8世
14
日本が判例法の米国と違い成文法の国であるため 法律が社会の実態とズレが生じてしまった場合に法改正が追いつかない為に問題が起きる 本来その法律が作られた時に何を目的として、どのような社会的な要請があったのかを忘れ 法令遵守のみを墨守することの問題を指摘している 著者は「コンプライアンス」という言葉は「法令遵守」と訳すべきではないと主張し 「組織が社会的要請に適応すること」と定義すべきと主張する。 生物の進化論にも例えて「眼を持つ組織」になることで 組織環境を改める必要性を説く。説得性がある内容でした。2025/01/29