内容説明
どこにでもいそうな凡人が、いかにして「世界一の権力者」に仕立て上げられるのか。鍵を握るのは政策ではなく、選挙参謀の戦略である。誹謗中傷、あら探し、映像トリック等何でもあり。テレビ時代のアメリカ大統領選挙は、メディアを駆使した壮大な足の引っ張り合い、ネガティヴ・キャンペーンの歴史だった。アイゼンハワー、ケネディからレーガン、ブッシュ・ジュニアまで、その情けなくも恐ろしい舞台裏とは。
目次
序章 いかにして凡人が「世界一の権力者」となるのか
第1章 凡庸なるブッシュの精密選挙マシーン
第2章 アイゼンハワーの新兵器
第3章 最初のテレビ大統領ケネディ
第4章 ジョンソンの最も汚い「ひなぎく」
第5章 負け犬ニクソンの大変身
第6章 カーター旋風の正体
第7章 バッシングを追い風にするレーガン
第8章 ピンポイント・ネガティヴのブッシュ
終章 テレビ選挙は変わるのか
著者等紹介
有馬哲夫[アリマテツオ]
1953(昭和28)年生まれ。77年早稲田大学第一文学部卒業。84年東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得。93年ミズーリ州立大学客員教授。現在、早稲田大学社会科学部教授(メディア論)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
83
民主党の大統領予備選で副大統領が不出馬となったことでいよいよクリントン女史が本命になりつつあります。この本には大統領選挙が如何にネガティブキャンペーンを行うかを書いていてやはりマスコミを味方に付けたほうが圧倒的に大統領選挙を楽に戦えるかを書いています。過去の大統領選挙をいくつか選んで分析していますが、やはりものすごくお金がかかるということがよく分かります。2015/10/21
金吾
21
生の候補者を知ることがないので、イメージ戦略が重要であることはよくわかります。アメリカも問題あるのでしょうが、選ぶこともできない日本に比べると遥かにマシと感じました。2022/10/30
Humbaba
6
例えどれほどの能力があったとしても、それを発揮できる立場に立てなければ意味が無い。そして、その地位に立つためには、大衆に対してわかりやすく説明する必要がある。重要な点が多数あっても、それを全て説笑みしていては聴衆には理解されず、意味のない演説になってしまう。そうならないようにすることは、人気を挙げるためには有用だが、政治家の多様性を失いというデメリットも有る。2013/12/12
Humbaba
2
アメリカ大統領選挙に勝つためには,メディアを上手に使う必要がある.正々堂々とした横綱相撲ができるのは,よほど国民に信頼されるだけの政治を続けてきた人間だけである.強者に勝利して大統領の座を射止めるためには,相手の問題をあげつらうような話題を先手先手で打っていく必要がある.2010/06/16
にゃん吉
1
ネガティブキャンペーンを大いに含むアメリカ大統領選のメディア活用の様子が面白い。大統領公選制とか、選挙広告の許容範囲とか考えると、よその国の話のようでもあり、他方で、本邦はどうかとも思ってみたり。こんな選挙で国家元首が選ばれて大丈夫かと思ってしまいますが、今もアメリカが世界に君臨しているのを思うと、候補者は、いずれも相応の人物ということか、国というのは、優秀なスタッフとか民の力で、どうにかなっていくということなのか。少し古い本で、今後のメールやネットの可能性が示唆されていて、この点も興味深くありました。
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