新潮選書<br> 「蒲団」の時代―自然主義とは何だったのか

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新潮選書
「蒲団」の時代―自然主義とは何だったのか

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  • サイズ 46判/ページ数 304p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784106039447
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0391

出版社内容情報

「能力主義」と「旧道徳」に戦いを挑んだ明治の文学者たち! 田山花袋に代表される「自然主義」は、富国強兵と立身出世の時代に、厭世・煩悶・性欲・虚無などの人間の暗部をあるがままに描いた。これまで「非社会的な文学」と批判を集めてきたこの企てが、じつは窒息寸前の社会を再生した一大精神運動だったことを、本書は膨大な文献調査から明らかにする。誰も知らなかった文学史!


【目次】

内容説明

「能力主義」と「旧道徳」に戦いを挑んだ明治の文学者たち!田山花袋に代表される「自然主義」は、富国強兵と立身出世の時代に、厭世・煩悶・性欲・虚無などの人間の暗部をあるがままに描いた。これまで「非社会的な文学」と批判を集めてきたこの企てが、じつは窒息寸前の社会を再生した一大精神運動だったことを、本書は膨大な文献調査から明らかにする。誰も知らなかった文学史!

目次

第一章 父と子の劇場―一八九三~一九〇六年
第二章 不思議なる宇宙―一九〇六年
第三章 野獣と悪魔―一九〇七年
第四章 文士の天下―一九〇八年
第五章 真摯に告白せよ―一九〇九~一〇年
第六章 破壊の後で―一九一〇年代

著者等紹介

木村洋[キムラヒロシ]
1981年、兵庫県生まれ。高校時代に丸谷才一の本に出会い、文学研究に興味を抱く。2010年、神戸大学大学院人文学研究科博士後期課程修了。熊本県立大学文学部准教授などを経て、上智大学文学部教授。博士(文学)。専門は日本近代文学。著書に『文学熱の時代―慷慨から煩悶へ』(名古屋大学出版会、サントリー学芸賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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パトラッシュ

120
フランス自然主義文学は環境や科学の変革に抑圧される人間を赤裸々に描く社会小説として発展したが、日本では田山花袋『蒲団』以降に作家の身辺雑記や体験告白型の私小説が主流となり、社会性が失われたと中村光夫に批判され低評価の見方が広まった。しかし著者はツルゲーネフ『父と子』の受容などから、日本の自然主義は父の世代が創った閉塞的な社会に対する子の世代の勇気ある反抗の象徴となったとみる。文学や言葉を受け入れる大きな社会集団があればこそ私小説が定着した点で、自然主義は原因ではなく社会との関係上で結果として成立したのだ。2026/06/19

hasegawa noboru

16
<厭世、性欲、虚無主義、社会と個人のあいだの衝突など、人生の暗い側面や不穏な現実をあるがままに描く>(はじめに)花袋「蒲団」(1907年)に象徴される自然主義小説は、今では考えられぬほどの、圧倒的な文化運動としての力を持った。非社会性ゆえに私小説という袋小路に陥ったとする中村光夫以来の自然主義批判、文学史的位置づけを覆そうとする近代文学研究者の試み。なぜか無関係なことを思い続けた。ヒエラルキー構造の上(上はその上の)の意向を忖度し(悪く言うと阿諛追従)、周りの状況空気を読むことを(右顧左眄)よしとする日本2026/07/02

アカショウビン

2
学生時代に好んだ国木田独歩、島崎藤村、ついに読むことがなかった田山花袋、それらが本書で一気に繋がった。北村透谷、高山樗牛の位置もよく分かった。ツルゲーネフ『父と子』の諍いから、当時の日本の世代対立の状況の説明が特に素晴らしかった。(透谷「俗物の尤も喜ぶところは憂国家の称号なり」)自然主義が政府と激しく戦う姿や、鴎外、漱石との関係にも成程と納得した。(花袋『蒲団』の「自然の力」が、まさか漱石『それから』の「自然」に繋がるとは思わなかった。)後に続く志賀直哉、谷崎への影響、展開もたいへん分かりやすかった。2026/07/09

澄川石狩掾

2
第6章「破壊の後で」では、自然主義が下火になった1910年代の状況が解説されるのであるが、一元描写論争への言及がまったくなかったのが残念であった。1917年に「カインの末裔」で文壇に躍り出た有島武郎は同年、自然主義の牙城であった『文章世界』に「凱旋」を発表した。岩野泡鳴はこの小説を批判し、有島が反論した。そしてその翌年、泡鳴は「一元描写」論を発表し、他の論者を巻き込んだ論争に発展するわけだが、この辺りについての著者の見解を知りたかった。2026/07/08

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