出版社内容情報
「校歌」はどのようにして日本独自の土着文化となったか? 校歌こそは、時代を映す音楽の機微を最も体現しているジャンルである――このような視座から、全国の校歌やその歌われ方を分析。旧制中学校・高等女学校でそれぞれの進化を遂げた後、戦後の男女共学化でどう変容し、いかに学校文化として歌い継がれてきたのか。校史や学校新聞などの資料を読み込んだ、瞠目の音楽社会史。
内容説明
校歌こそは、時代を映す音楽の機微を最も体現しているジャンルである―このような視座から、全国の校歌やその歌われ方を分析。旧制中学校・高等女学校でそれぞれの進化を遂げた後、戦後の男女共学化でどう変容し、いかに学校文化として歌い継がれてきたのか。校史や学校新聞などの資料を読み込んだ、瞠目の音楽社会史。
目次
序章 校歌という文化資源:校歌は「芸術作品」?
第1章 「コミュニティ・ソング」としての校歌
第2章 「校歌」以前の校歌:「替え歌校歌」の時代
第3章 校歌の「戦後処理」
第4章 生き延びる校歌
第5章 「学校文化」のなかで:校歌を取り巻くインフラストラクチャー
第6章 校歌をこよなく愛する学校:埼玉県立春日部高校の事例研究
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MASA123
8
サブタイトルが「日本人が育んだ学校文化の謎」で、「謎本」がすきなので読み始めた。しかし、日本の校歌の起源が、フランス革命から始まって、興味のもてる話がなかなかでてこない。挫折しかけたが3章の戦後の男女共学移行で「旧制中学校と高等女学校の対面式」「共学になりフォークダンスを踊る男女生徒」などのレア写真が目を惹いた。新制の高校は男女共学になったから、女学校だった学校に、男子学生が移動してくる(逆もあり)という、なんだか、たのしいことになったようだ(はずかしいかも)・・・その流れでフォークダンスも。2025/01/04
梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」
8
▼著者は聴覚文化論・音楽社会史を専門とする東大名誉教授。▼日本における校歌発生の経緯と、メロディーの成り立ちや行事での用いられ方の変遷などが述べられている。▼校歌は明治以降に発生したものであり、日本独自のものだということ、そして、当初は軍歌など著名な曲の替歌から始まったという。これらは意外と知られていない事だろう。▼戦後、軍国主義的な歌詞を変更する「戦後処理」が各地で行われたことなど、身近な具体例を知っている自分ににとって興味深い内容であった。自分の母校の校歌の事を思い浮かべながら読むと面白い。2024/09/13
kj54
5
主に20世紀、校歌がどのように成り立ち、変容し、受け入れられてきたか、丁寧に論じられている。天邪鬼な人間にとって、どうも校歌などというと「一体感」を押してけてくる、どちらかというと鬱陶しい存在に感じる。そんな私にも、それぞれの事例がどれも面白く、興味深く読めた。2024/09/19
Tatsuo Ohtaka
4
校歌が日本特有の文化なことを知り驚く。旧制中学校や高等女学校で歌われた校歌が、第二次世界大戦後の学制改革でどう変化したのか、スポーツ応援や文化祭でどう歌われてきたのかなど、多面的に校歌を考えていて面白い。事例がもっと多いとさらにうれしい。2024/08/29
るき
4
校歌の変遷を調べた本。出てきた校歌をいくつかYoutubeで確認しながら読みました。学校の調査は周年誌と学校新聞と卒業生大事。春日部高校の、同じ高校の校歌のCDを年数比較して変化を調べる、なんてことも毎年撮ってないとできないことだけど、動画も毎年あげてるのかな。CDでも取っておいてほしくなりますね。2024/08/20