出版社内容情報
通説・俗説・珍説を徹底論破! 「天下分け目の戦い」の真相を解明する。「淀殿や三奉行は三成派」「直江状は偽書」「小山の評定は後世の創作」「戦は一瞬で終わった」「関ヶ原は戦場ではない」「問い鉄砲はなかった」……。四百年を経た今も日本史上最大の野戦について激しい論戦が繰り広げられている。そのうち、注目を集めた新知見を、第一人者である著者が吟味し、総合的な歴史像を構築する。
内容説明
「淀殿や三奉行は三成派」「直江状は偽書」「小山の評定は後世の創作」「戦は一瞬で終わった」「関ヶ原は戦場ではない」「問い鉄砲はなかった」等々。日本史上最大の野戦は四百年を経た今も、それについて激しい論戦が繰り広げられている。そのうち、近年注目を集めた新知見を本分野の第一人者である著者がひとつひとつ吟味しながら、総合的な歴史像を構築する。
目次
第1章 秀吉の死―豊臣政権の内部矛盾
第2章 関ヶ原前夜の政治抗争
第3章 会津征伐
第4章 三成の挙兵と小山の評定
第5章 西軍の展開と全国各地の戦い
第6章 東軍の展開と家康の戦略
第7章 関ヶ原合戦
第8章 合戦後の国制
著者等紹介
笠谷和比古[カサヤカズヒコ]
1949年神戸生まれ。京都大学文学部卒業。同大学院博士課程修了。博士(文学)。国際日本文化研究センター名誉教授。専門は歴史学、武家社会論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
96
関ヶ原の合戦にいたる軍事・政治状況を再分析し。近年の様々の、「従来の関ヶ史観」への批判的な論を、さらに批判した本。西軍の状態を、当初の石田・大谷両名のみ参加の散発的な挙兵段階と。淀殿・毛利家らが参加して「秀頼を支える正統的」軍になった段階とに、分けて論じている。いままでの著では歴史家らしく冷静な調子であったが。この本では、いい意味で熱い語り口で、引き込まれた。2022/10/26
ゲオルギオ・ハーン
27
『天下分け目』という肩書きがありながら詳細のわからない謎の決戦『関ヶ原』について、それまでに至る道(文禄・慶長の役)からはじめて、諸説の一部を著者が自説でもって解説していく一冊。個人的な考えと概ね合致するところもあるし、別の考えをしているところもあり読んでいて楽しかった。概ね合致するところは関ヶ原の戦いは三成対家康ではなく、あくまで豊臣系家臣内の内乱であること。異なるのは小山評定の実在性。また、書簡をもとに淀殿や奉行、家康が事態の急変に困惑しているという解釈はかなり興味深く現実味が強いと私は思った。2022/10/14
鐵太郎
19
関ヶ原合戦に絞ってあの時代を見直し、様々な俗説や新説を検討した上で最もありうる「関ヶ原戦略」を開示したもの。この戦いで最も利益を得たのは誰か。「内府ちがひの条々」がもたらしたもの。小山の評定はあったのか。秀忠の率いる部隊と家康直属部隊の成り立ちと戦力としての違い。戦闘時間はどのくらいだったか。「問い鉄砲」はあったのか。合戦後の論功行賞の意味。なるほど、これは面白い。2023/07/14
akiakki
13
関ケ原の合戦の最新研究。直江状、小山評定、秀忠の遅参、問い鉄砲etcを有り無し/有能無能で単純な評価をせずに、前後の挙動から含めてグラデーションを持った事象と解説しています。西軍は合戦前に現実的な勝算を弾き出しており、また家康も結構ギリギリの判断を求められた場面もあったとのこと。まさに「どうする家康」。読後には「結局派閥争い、政治闘争じゃね?」感が強まった。政治史として見ると解像度が上がりそうだが、戦国時代に抱いているロマン的な何かは欠片もない合戦だったんだなあと。2023/06/02
akiakki
9
「どうする家康」がそろそろ関ヶ原合戦なので流れを復習するために再読。内府ちがいの条々を発行されたことによる江戸足止め、主戦力の秀忠軍が別行動、東海道筋諸城の抑えによる譜代の分散と合戦前の東軍は結構危なかった。これじゃ秀頼の出陣を恐れたのも無理はない。逆になぜ三成は秀頼出陣という勝ち確の札を切らなかったのだろうか。(ドラマの影響を受けていることを前提だが)豊臣家の威光を過剰評価していたのではないだろうか。2023/10/24