出版社内容情報
政治改革という名の静かなる激変。選挙制度、行政システム、司法、地方分権……憲法改正どころではない国家改造の三〇年を読み解く!
内容説明
あの改革は、憲法改正をも凌駕する時代の画期だったのか?まさに平成が始まろうとしていた頃のこと、政治シーンのあちこちで「改革」の二文字が見られるようになった。以来30年、日本の統治システムは改革の名のもと、静かに、しかし激しく変貌を遂げてきた。選挙制度、行政、日銀・大蔵省、司法制度、地方分権…現在の政治を作り出した壮大な理念とその帰結を読み解く。
目次
序章 政治改革への視点
第1章 政治改革の全体像
第2章 選挙制度改革
第3章 行政改革
第4章 日本銀行・大蔵省改革
第5章 司法制度改革
第6章 地方分権改革
終章 改革は終わったのか
著者等紹介
待鳥聡史[マチドリサトシ]
1971年生まれ。京都大学法学部卒業。京都大学大学院法学研究科博士後期課程(政治学専攻)中途退学。京都大学博士(法学)。大阪大学助教授などを経て、京都大学法学部教授。専攻は比較政治論。著書に『首相政治の制度分析―現代日本政治の権力基盤形成』(千倉書房、サントリー学芸賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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俊介
18
政治改革に明け暮れた平成。政治家もマスコミも二言目には「改革、改革」言ってた気がする。自分としてはよく意味も分からず眺めてたけど、本書で、一連の改革がどういう意味を持ってたのか振り返るいい機会になった。衆議院選挙は小選挙区制になり、大蔵省は財務省になり、裁判員制度も出来た(小泉改革にはあまり触れない)。とにかく幅広いので、ひとつの評価軸で測るのは難しいとは思うが、著者としては『近代主義右派』の流れが背景にあるという見立てだ。その是非はともかく、平成の改革をここまで綺麗にまとめた本はあまり無いのでは。2020/11/10
かんがく
14
平成初期の「政治改革」について端的にまとまっている良書。近代主義(理想)と土着化(現実)をキーワードに、選挙・行政・日銀・司法・地方分権などの改革がどのような形で進んでいったかが丁寧に述べられている。一般的な誤解を冷静に突き返していく書き方も好印象。2021/02/23
武井 康則
14
1989年天皇が崩御し平成が始まる。リクルート事件、ベルリンの壁崩壊、バブルの崩壊。もはや戦後の仕組みでは太刀打ちできない。政治家の腐敗をなくし、市民に身近な政治を。選挙制度改革、行政改革、日本銀行・大蔵省改革、司法制度改革、地方分権改革と公共部門と呼ばれる領域の大部分で立て続けに改革が行われた。国民や官僚、政治家、マスコミの思惑が入り乱れ、方向が変わったり、思惑が外れたり。本書はその結果は評価せず、各改革の歴史に終始する。それは平成の歴史とも重なる。今の日本がなぜこうなのか、よくわかるもう一つの平成史。2020/10/01
msykst
13
面白かった。90年代からの一連の政治改革(行政改革/日銀大蔵省改革/司法制度改革/地方分権改革)についての本はこれまでも読んだ事があったけど、本書は「土着化」という概念を元にそれらを包括的に分析する。まず一連の改革の根底には、著者が「近代主義右派」と名付ける理念が共通してあると。しかし、政策化し現場に落とし込むまでの間には「土着化」というプロセスがあり、それによって理念とのズレが生じていったのではないか、という事を各論分析で示す。プロセスと結果の問題点は示しつつも、改革自体の意義と必要性は強調されている。2020/10/05
Hiroo Shimoda
11
選挙制度、省庁再編、日銀法改正などの改革に共通した理念・目的を整理しつつ、現実は其々の改革で何が起きたのかを考える。官邸への権力集中と、地方分権や日銀といった権力分散が同時に成り立つのが興味深い。2021/05/08