内容説明
憧れだったはずなのに…。この新たな格差はなぜ生まれたのか?「100グラム58円の豚肉をまとめ買いするために自転車で30分走る」「月100円の幼稚園のPTA会費をしぶる」「友だちから家庭菜園の野菜をもらう」―勝ち組の象徴とも思われていた専業主婦の8人に1人が貧困に直面している。なぜ彼女らは、自ら働かない道を選択しているのか?克明な調査をもとに研究者が分析した衝撃のレポート。
目次
第1章 ルーツ
第2章 行き詰り
第3章 貧困
第4章 格差
第5章 ズレ
第6章 幸せ
第7章 理由
第8章 罠
第9章 第三の道
著者等紹介
周燕飛[シュウエンビ]
1975年中国生まれ。労働政策研究・研修機構(JILPT)主任研究員。大阪大学国際公共政策博士。専門は労働経済学・社会保障論。主な著書に『母子世帯のワーク・ライフと経済的自立』(第38回労働関係図書優秀賞、JILPT研究双書)等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nobuko Hashimoto
46
ざっと通読。「幸福度」を授業ネタにしていたとき、「価値観は人それぞれ」「本人が幸せだったらいい」というところで思考が停止する学生が一定程度いた。問題はそこではなく、「幸せ」と思っている状態が、実は知識や体験の少なさ、広い世界を知らないこと、先を見通せないことによるもので、実は大損していたり不利益を押し付けられていたり、社会制度(税や年金等)による誘導であったりして、そうした不公平は個人にも社会にも損なので是正が必要だということを理解してもらうのに苦労した。どうやらこの本もそのように読まれているようだなあ…2020/08/11
Koichiro Minematsu
41
著者は中国生まれで厚労省のシンクタンクの研究員。データやアンケートで専業主婦の実態に迫り、政策につなげる。専業主婦の理由は大きく「自己都合型」「不本意型」に分かれ、共通することとして、世帯収入の低さがあるが、前者は幸せを感じており、後者はタイトルでも分かる貧困専業主婦である。どちらもそのキーになっているのは子育て、母子共に病弱であるということ。更に不本意型では、母親の就業できない壁も立ちはだかる負のスパイラルに最中にいることがわかる。2019/10/27
香菜子(かなこ・Kanako)
32
貧困専業主婦。周燕飛先生の著書。女性であろうと男性であろうと、働く働かないは個人の自由だし、専業主婦や専業主夫になる権利は誰にでも平等にあるはず。でも、今は少子高齢化でどこも人手不足。貧困専業主婦や貧困専業主夫であれば、主婦や主夫ではなくて働いて収入を得るという選択肢もあると思う。それに、欧米の先進国と比べると時代遅れで周回遅れの日本社会も女性の社会進出がようやく認められきたから、女性でも能力や経験を活かした活躍ができる職場が以前よりも増えてきているし。2019/08/15
shikashika555
23
本人の病気か 介護が主な原因かと考えていたが、それだけではない。 私もつい昨年までほぼ専業主婦だった。 そしてその理由をきちんと自覚していなかった。 個人的には、旧い専業主婦モデルに絡め取られた思い込みと、帰属所得の高さ。そして社会的制度による優遇にもよっていた。 だが、脳の帯域幅の不足という言葉にガツンとヤラレた。それだ。専業主婦という役割に閉じ込められて、欠乏の罠に陥っていたのだ。 貧困専業主婦の幸福度は高いそうだ。幸福でありながら自殺を考えたことがあり、鬱傾向の指標が高いという例が印象的だった。2019/09/10
ochatomo
18
専業主婦の8人に1人は貧困に直面しているそうだ 短いタイム・スパンで判断すると継続就業した長期的な報酬を見逃してしまう 行政が情報などを提供して国民を賢い選択へと“軽く誘導すること(ナッジ NUDGE)”が推奨される(リバタリアン・パターナリズム) 2019刊2020/09/15
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