新潮選書<br> 謎とき『失われた時を求めて』

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新潮選書
謎とき『失われた時を求めて』

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  • サイズ B6判/ページ数 301p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784106037702
  • NDC分類 953
  • Cコード C0395

出版社内容情報

あの大長篇小説に込めたプルーストの巨大な芸術的構想と秘めたる思い。著者がヴェネツィアに旅して確かめた〈黒衣の女〉の謎とは?

「黒衣の女」とは誰か? プルーストが込めた芸術的野心と個人的な思慕とは? 『源氏物語』にも比せられ、『ユリシーズ』と並ぶ二十世紀最大・最強の長篇小説。しかし一万枚を超す長さと、文章の複雑さゆえに読み通すのが容易でない本。その真の魅力と、作家が隠蔽しつつも書き残した謎を、ヌーヴェル・クリティックの第一人者が初めて説き明かす。プルーストの姿を追って旅したヴェネツィアで見たものとは?

内容説明

角田光代氏と『失われた時を求めて 全一冊』を編訳した著者は、原文を詳細に辿るうちに、プルーストが込めた秘密の思いに気づく。ラスキン、ベルクソンから最新の研究まで文献を渉猟し、ついにはヴェネツィアへ飛んで、わが目で確かめたものとは―?テキスト論の第一人者が、従来の批評スタイルに拘らず、大名作を縦横無尽に論じた文学的冒険の著。

目次

冒頭の一句について
「私」が窓辺にたたずむと…
“私”という形式、あるいは犬になること
モネを超える試み
メタモルフォーズ 隠喩的な錯視
小説という場所
描写のネットワークを読む
方法としての記憶
石への傾倒 小説を書く
死んでいる母と「ひとりの女」
ヴェネツィア紀行
知覚を宿す平面 プルーストとベルクソン

著者等紹介

芳川泰久[ヨシカワヤスヒサ]
1951年、埼玉県生まれ。早稲田大学大学院後期博士課程修了。早稲田大学文学学術院教授(フランス文学、文芸評論)。ヌーヴェル・クリティック、テクスト論と呼ばれる批評ジャンルの第一人者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

77
フランス語文法の初級知識がいります。 ”失われた時を求めて”の凄さは複合過去形を用いたこと。 話ことばだから。 プルースト自体も難しいのに、ベルクソン出すとますます難しい。 謎が謎を呼んでしまった2022/07/11

SOHSA

38
《図書館本》本来、この種著作は読まない主義だった。小説はやはり解析精査すべきものではなく、読み手が個々の視座で味わうべきと考えていたからだ。加えてこうした著作を読むと著者の言説にひきずられてしまう自分の弱さもあった。しかし、うしプルを誰かと共有したい誘惑に駆られついふらふらと手にとってしまった。結論として著者の言説は明解でわかりやすく面白かった。研究書というよりむしろ柔らかな読み物として。しかし、やはりうしプルを読了する前にはお勧めしない。まずは自らの力のみで全巻読了した後の1冊とするのがよいかと。2018/04/05

踊る猫

22
このテのタイトルの本にありがちな、テクストや構造の矛盾を隅々までつついて回るしつこさはない。教科書通りに『失われた時を求めて』を読み、そしてそこから平易に記憶や世界観を炙り出してみました、という感じ。悪く言えばぶっ飛んだところはないので退屈。この著者ならではの力技をもっと読ませて貰いたかった気がするが、ただそこは後半部のルポルタージュ仕立ての部分が読ませる作りとなっており、この旅行記だけで一冊書けるんじゃないかという気もする。この部分をキモに持って来て構造を練り直した方が面白くなったのではないか、というか2018/04/10

きゃれら

15
語り手が母とヴェネツイアを訪れた際の「その女こそ私の母なのだ」という謎の文。僕は「失われた時…」が書かれているその時には死んでいる(らしい)母の姿を語り手がいつでもそこに見い出せるくらいの意味と思った。その文から小説のテーマと作家の思いを引き出すのが筆者の謎解き。原文が引用されるので初級フランス語の知識があると尚楽しめる。ベルクソンと並置する第12章はわかりにくいが、主体と客体の二元論の克服がそんなに重大なことと自分には思われないから?作品通読後に手に取ったが、読む前だったら更にわかんなかったかもなあ。2022/08/08

またの名

14
長大な小説が冒頭に10行でさらっと要約されてしまい困惑。ストーリーを追う楽しみはお預けにして、異なる二つの現象を隠喩という形で結びつけるプルーストの方法が、あの特徴的な長々とした文体にも作品全体の構成にも、さらには遠く離れていたものの記憶を引き寄せる無意志的想起にも働いているとする重ね合わせのテーマが本書を貫く。小説としてなら倒錯者シャルリュス男爵以外にも魅力的な人物が多く登場する面は取り上げてほしかったけど、テクスト論者があえてその枠を超えてヴェネツィアへ赴く趣きは、あたかも推理探偵もの。まさに謎解き。2017/08/17

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