新潮選書<br> 神を哲学した中世―ヨーロッパ精神の源流

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神を哲学した中世―ヨーロッパ精神の源流

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  • サイズ B6判/ページ数 299p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784106037184
  • NDC分類 191.02
  • Cコード C0310

出版社内容情報

ヨーロッパ中世の人々は、なぜ神を信ずるだけでは足りず、合理的に語ろうとしたのか? 中世神学の心情と論理を解き明かす。

「信仰」と「学問」のはざまで、神学者たちは何を考えていたか? 中世において「哲学」は「神学」の形をとった。キリスト教信仰と古代ギリシア哲学の出会いによって「神についての学問」が生まれ、ヨーロッパ精神が形作られていった。神の存在、天使の堕落、人間の富や色欲を当時のヨーロッパ人はどう捉えていたのか。中世神学から「信仰」というベールを剥ぎ、その実像に迫る。

内容説明

中世において「哲学」は「神学」の形をとった。キリスト教信仰と古代ギリシア哲学の出会いによって「神についての学問」が生まれ、ヨーロッパ精神が形作られていった。神の存在、天使の堕落、人間の富や色欲を当時のヨーロッパ人はどう考え、語ろうとしたのか?中世神学から「信仰」のベールを剥ぎ、その実像に迫る。

目次

第1章 中世神学に近づくために
第2章 キリスト教神学の誕生―アンセルムスの世界
第3章 地上の世界をいかに語るか―トマス・アクィナス『神学大全』
第4章 神学者が経済を論じるとき―ドゥンス・スコトゥス『オルディナチオ』
第5章 中世神学のベールを剥ぐ
第6章 信仰の心情と神の学問
第7章 中世神学の精髄―ヨハニス・オリヴィの学問論・受肉論

著者等紹介

八木雄二[ヤギユウジ]
1952年、東京生まれ。慶應義塾大学大学院哲学専攻博士課程修了。文学博士。専門は中世西欧哲学。現在、清泉女子大学と早稲田大学の非常勤講師、「東京港グリーンボランティア」代表理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

えちぜんや よーた

34
"神学は神の学問と言っても、神がもっている学問ではなく、神を原理(始め)とする世界についての学問であり、神について人間が近づくことができる範囲の学問である。けして神秘の学問ではない。神が創った世界を、そしてその原理である神を、どこまで学問的に語れるか、論理的に考えれるかぎりを尽くした人間の営みであった。"(P4「はじめに」より)中世のキリスト教神学は、近代のヨーロッパ人にも精神的な影響を与え、現代の科学技術に対する考え方にもやはり影響を与えているのではないか、と考え本書を読みました。思考としては、原子物理2012/12/31

藤月はな(灯れ松明の火)

32
「暗記は駄目」と言われても結局は暗記勉強でしかない哲学概論。暗鬼が苦手なのですが授業の進行状況を考えてもスコラ哲学(後の神学)についての詳しい説明はないと悟り、どのようなものか知るために大学図書館で借りる。主意性と主知性、三位一体、ペルソナ論、普遍性においての存在、神の意志に従うことでの人間の「正義」など、宗教概論、宗教論などカトリック系の大学で学んできた学問の復習にもなりました。個人的には、後のプロテスタ二ズム、所有権においてのロックの思想にも通じる、スコトゥスの経済と神学との関係性が興味深かったです。2013/06/15

かんがく

13
古代哲学、近代哲学についての研究は数多あるが、中世については少なく、概説書などでもスコラ哲学について軽く触れられるほど。本書ではその中世哲学について、トマス・アクィナスなどそれぞれの学者の酒著を用いながら説明。現代日本とは考え方が全く違うということを著者は何度も強調し、読者を中世ヨーロッパの考え方へと導いていく。すべてを理解することはできなかったが、普遍の概念、理性と感情などを知ることができた。今後、中世ヨーロッパ史を学ぶ際の手助けになりそう。2019/03/26

非日常口

7
日本は環境に自分を溶け込ませる共感を大切にするが、西欧中世では内省すすめ自我を大切にする。これは民主主義というシステムが日本では極めて機能しづらいことを示してる。voluntus神の意志を受けてイエスのように行動することがボランティアだ。これも周りの意見をベースにする人はメディアが消えると共にいなくなる。3.11の時の疑問の根底もさることながら、通商、リスク、自由など流行の言葉もその根は中世哲学にあるように感じた。より大・より小、全体・部分、一・多で見る哲学の世界。2013/01/07

うえ

6
スコトゥスとトマスの(経済)思想の比較が興味深い。トマスと比べスコトゥスはやや経済生活を重視。ただ両者とも少なくとも飯を食うことが思想・倫理より遥かに下。すなわち理念、権利、法、主義が、生命維持の衣食住より遥かに重視される思想。学問は未だ生命なるものを定義できていないがその障壁とも言えようか。中世でいえばポーコックが示唆するようにフィレンツェなどの思想だけがそれらを示せていた。「日本的な伝統では、悲しみに、静謐な情緒や心の平安を見出だすことが一般的である。ところが…明らかに、西ヨーロッパの中世にはない!」2015/10/18

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